さて、
「台湾と我が国の防空識別圏問題」ついては、まずちょっと長いですが平成十六年十一月一日の第161回国会衆院外務委員会議事録から自民党谷本龍哉議員の質疑を抜粋引用します。
第161回国会外務委員会議事録 平成十六年十一月一日 (衆議院外務委員会)
○谷本委員
イラク復興へ向けての、国民を思っての取り組みに今後期待をしたいと思います。
では、質問通告どおりの質問に入りたいと思います。一問目は、沖縄、特に与那国島の関係について質問をさせていただきます。
先月、十月の四日から衆議院のこの外務委員会の視察で沖縄を訪問してまいりました。そのときには、米軍ヘリの墜落現場の視察あるいは普天間飛行場の視察、こういったことで与那国には行かなかったんですが、実は、個人的な予定がその後ありまして、そのまま残って与那国島を訪問してまいりました。
そこで、島民の方々ともいろいろな話をしながら思ったことは、沖縄について、確かに基地問題というのが非常に大きな問題として議論に上ることというのは多々あるんですけれども、やはりもう一つ重要な問題として、国境の問題、これもやはり沖縄については同時にもっと考えなきゃいけないのではないかということを実は実感をいたしました。
そういう中から幾つか聞きたいと思うんですが、まず、防空識別圏というものがございますが、これの定義をお聞かせ願いたいと思います。
○大古政府参考人
お答えいたします。
防衛庁で設定している防空識別圏につきましては、我が国周辺を飛行する航空機の識別を容易にしまして、もって領空侵犯に対する措置を有効に実施するため、我が国を囲むような形で定めた一定の空域でございます。
当該空域を飛行する自衛隊機の機長に対し、その空域に進入する予定地点、予定時刻等をレーダーサイト等に報告せしめているところでございます。
○谷本委員
それでは、続きまして、その防空識別圏というのはどのようにして決められているのかを説明願いたいと思います。
○大古政府参考人
我が国の防空識別圏につきましては、もともと米軍が我が国の防空及び航空管制を実施していたころに設定したものでございます。防衛庁は、昭和四十四年でございますが、米軍の防空識別圏の線引きをほぼ踏襲する形で訓令を定めまして、防空識別圏を規定しているところでございます。
○谷本委員
では、ちょっと確認したいんですけれども、ということは、例えば隣接する国と協議をして線を引くとかそういうことではなくて、独自に決めてあるということですか。
○大古政府参考人
防空識別圏につきまして、米軍から防衛庁が引き継ぐ際には、関係諸国と協議したということはございません。
○谷本委員
今、ございませんですか、ございますですか。(大古政府参考人「ございません」と呼ぶ)ございませんでいいですか。はい。
それでは、この与那国島周辺、このあたりの防空識別圏は現状どういうふうになっていますか。
○大古政府参考人
与那国島の、これは東西に長い島でございますけれども、西側部分の三分の二あたりの上空に防空識別圏が線引きされているという状況でございます。
○谷本委員
ということは、その島のちょうど真ん中ではないですけれども三分の二のところ、島の上に防空識別圏がある。ということは、では、例えば防空識別圏の外側の部分は他の国の防空識別圏になっているんですか。
○大古政府参考人
与那国島の領土の上空に防空識別圏がございまして、日本側でない部分については台湾側の防空識別圏であるというふうに承知しております。
○谷本委員
では、その台湾側に日本の何らかの飛行機が進入して台湾からスクランブルを受けたということは過去にありますか。
○大古政府参考人
自衛隊機につきましては、過去すべての記録があるわけではございませんが、ここ数年において台湾側からスクランブルをかけたという事実はございません。
○谷本委員
詳しい、ちょっと確かな情報ではないんですが、昭和五十九年に一度スクランブルがあったという話を伺ったことがあるんですが、これは何を言いたいかといいますと、日本の領土である与那国島、その上に、しかも三分の二のところで防空識別圏が分かれている。ということは、島の方にとっては、感覚として、日本であるのに空の部分は何分の一かはほかの国が管理をしている。これに対する不安といいますか、なぜそうなっているんだ、こういう素直な疑問が出てきて当然だと私は思います。
この防空識別圏、先ほど、他の近隣諸国と話し合いをして決めたわけではないと。そういう意味では独自で決められるという理解だと私は思いますし、実際、防衛庁の訓令で決まっているということですが、この識別圏を、例えばしっかり与那国島をすべて日本側にできるような変更措置というのはできないものなのでしょうか。
○大古政府参考人
現在の防空識別圏を与那国島の部分において見直すことにつきましては、台湾との関係等諸般の事情を考慮しつつ慎重に検討する必要があると思っています。
ただ、御理解いただきたいのは、防空識別圏といいますのは、基本的に自衛隊の飛行機がそのそばに入るときにいろいろレーダーサイトなりに通報するための線引きの線でございます。与那国島の上空につきましては、これは領土、領空でございますので、そういうところに、防空の観点から、進入するような飛行機があればいずれ適切に侵犯の対処をするということは当然だと思っております。
○谷本委員
当然島の上は領空であるということは理解もしておりますし、ただ、やはり島の方々としては、たとえ自衛隊の飛行機の通行のためとはいえ、その管理、防空識別圏という管理の線引きがなぜ島の上にあるのか、我々の部分は当然日本がやって当たり前じゃないかと思うのは、恐らく素直な感情だと思います。通告にはありませんが、町村大臣、この問題についてもしっかりと取り組んでいただきたいと思いますが、一言答えていただけますか。
○町村国務大臣
防空識別圏の件、大変重要な点でございます。また、さらに、これは日中関係ということも念頭に置きながら、しかし、さはさりながら、日本のまさにこれも国益という観点から、しっかりと取り組んでいきたいと思っております。
■この中にこの問題のエッセンスが全て入っていると言ってもいいほどの質疑ですね。
谷本議員の言う
>日本の領土である与那国島、その上に、しかも三分の二のところで防空識別圏が分かれている。
>ということは、島の方にとっては、感覚として、日本であるのに空の部分は何分の一かはほかの国が管理をしている。
>これに対する不安といいますか、なぜそうなっているんだ、こういう素直な疑問が出てきて当然だと私は思います。
というのはまさしく素直な気持ちだと思います。
と、この様に与那国島の西側2/3は日本の領空・領土でありながら台湾の防空識別圏に入っていて、我が領空であるにもかかわらず民間機が台湾側に許可や申請なく飛び立てば台湾の戦闘機がスクランブルをかけてくると言う非常に奇っ怪な空域であるのです。
与那国島に我が方が兵力を推進するのなら、この問題は是非解決していただきたいと思います。
さて、与那国島に数個小隊程度の警備隊を推進して一番喜ぶのは誰でしょうか?
私は台湾ではないかと思います。
台湾海峡で中台の衝突が始まった際に一番キーになるのは米海軍の世界最強の空母戦闘群ですね。
例えば中共が台湾に軍事的恫喝を行っても、米海軍空母戦闘群が台湾海峡に入れば一九九六年の台湾海峡危機の際と同じで軍事的プレゼンスが完全に打ち消されてしまいます。
中共は二個空母戦闘群で黙らされた事を彼らは忘れていません。
彼らとしてはできればグアムの辺りで足止めし台湾を制圧する時間を稼ごうと企図しているわけです。
その結果が旧ソ連製「ソブレメンヌイ」級ミサイル駆逐艦の購入・中台海峡への配備であり、中共海洋調査艦の我がEEZの不法海洋調査であり、この前の漢級原潜の領海侵犯な訳ですね。
但し、ゾブレメンヌイに射程百数十キロの「
SS-N-22サンバーン」超音速艦対艦誘導弾が積んであると言ってもゾブレメンヌイでは40~50kmの探知が精一杯で百数十キロ先の敵を発見して攻撃できない、ゾブレメンヌイと航空機が組み合わさったときに初めて力を発揮するのであって、ソヴレメンヌイのミサイルを過剰評価することはない。
という意見もありますが・・・。
さて、地図を見れば分かりますが
「日本列島~西南諸島~先島諸島~台湾」がすっぽりと中国を覆っていることが分かります。
中国海軍は大きく三つの艦隊からなります。
北海艦隊
司令部は青島。
青島・・・原子力潜水艦(夏級・漢級×5)
旅順・・・水上戦闘艦
葫芦島・・・従来型潜水艦(形式不明×15)
東海艦隊
司令部は寧波。
・象山・・・通常型潜水艦(キロ級×4・宋級×3)
・舟山・・・水上戦闘艦艇(杭州・福州など)
南海艦隊
司令部は湛江。
・湛江・・・水上戦闘艦(広州・蘭州・武漢など)
・楡林(海南島)・・・通常型潜水艦(明級×6)
の三つに分かれていますが、殆どの海軍基地がこの「日本列島~西南諸島~先島諸島~台湾」の弧の中にあり、この「弧」の中に中共海軍-特に潜水艦-を閉じこめることができれば空母戦闘群はフリーハンドで活動でき中共の軍事的プレゼンスを事実上無力化できます。
そして、かつて我が国の対潜水艦戦部隊の仮想敵はソヴィエト海軍でした。
ハッキリ言って沿岸海軍に毛の生えた程度の中共海軍など恐るるにたりません。
沖縄へのF-15配備は決定しました、下地島へのF-2配備や先島諸島への陸自展開も楽しみです。
・・・相変わらずまとまりのない日記ですねw
(
参考リンクへ続く)