テーマ:戦争反対(1190)
カテゴリ:国防・安保問題
■個人的にはとても良い書き方の記事だと思います。 さて >陸上自衛隊は2日、来年2月に熊本で行われる米陸軍などとの共同図上演習に、九州・沖縄8県の危機管理担当者らを参加させる方向で検討に入った。 >演習では、弾道ミサイル攻撃など具体的な有事を想定し、住民避難や救援方法を検証することにしている。 >昨年6月に成立した国民保護法で、自衛隊は「有事の際、外敵の排除に支障のない限り、住民避難などで地方自治体を支援する」と規定された。 >一方の都道府県は、基本指針を下敷きに来年3月末までに、原発や離島へのゲリラ攻撃、都市部での市街戦などの有事を前提に、地域の特性に応じた「国民保護計画」を策定しなければならない。 という訳ですが、これは「武力攻撃事態等における国民の保護のための措置に関する法律」(通称:国民保護法)の成立に伴い自治体には国民保護対策が課せられたからですね。 今これが各自治体で災害対策以上に頭が痛いのが実情だそうです。 具体的に言えば国民保護法第三条により 第三条(国、地方公共団体等の責務) 国は、国民の安全を確保するため、武力攻撃事態等に備えて、あらかじめ、国民の保護のための措置の実施に関する基本的な方針を定めるとともに、武力攻撃事態等においては、その組織及び機能のすべてを挙げて自ら国民の保護のための措置を的確かつ迅速に実施し、又は地方公共団体及び指定公共機関が実施する国民の保護のための措置を的確かつ迅速に支援し、並びに国民の保護のための措置に関し国費による適切な措置を講ずること等により、国全体として万全の態勢を整備する責務を有する。 2 地方公共団体は、国があらかじめ定める国民の保護のための措置の実施に関する基本的な方針に基づき、武力攻撃事態等においては、自ら国民の保護のための措置を的確かつ迅速に実施し、及び当該地方公共団体の区域において関係機関が実施する国民の保護のための措置を総合的に推進する責務を有する。 3~4 略 という国と地方公共団体の責務が定められ、同時に同法三十二条により 第三十二条(基本指針) 政府は、武力攻撃事態等に備えて、国民の保護のための措置の実施に関し、あらかじめ、国民の保護に関する基本指針(以下「基本指針」という。)を定めるものとする。 と規定されました。 そこで政府は昨年12月に「国民の保護に関する基本指針要旨」を公表し地方公共団体や関係機関・国民からの意見をふまえて「国民の保護に関する基本指針案」を取りまとめました。 これについて再度意見を募集し先月25日に国民の保護に関する基本指針(PDF文書)を閣議決定しました。 指針では日本が外国などから攻撃を受ける武力攻撃事態として 1)本格的な上陸侵攻 2)ゲリラなどによる攻撃 3)弾道ミサイル攻撃 4)航空攻撃 の4タイプを想定し、国と自治体によるそれぞれの場合の対処法を提示しています。 また住民を避難させる場合は、 ▽国が警報を発令し避難地域を指示 ▽都道府県は市町村を通じて住民に避難を指示し、医療や食料提供などの救援措置を実施 ▽市町村は避難住民を誘導 などと、役割分担と手順を明示しました。 また基本指針は主に北朝鮮による核開発・ミサイル攻撃や大規模テロの発生などを念頭に、想定される4タイプのいずれでも使われる可能性があるNBC(核・生物・化学)兵器への対処を重視し、万が一NBC兵器が使用された際は首相が閣僚を指揮して救助にあたると、国の責任を明確化した。 大規模テロ対処でも炭疽(たんそ)菌やサリンの大量散布などを例示し、武力攻撃事態と同様の国民保護措置をとると規定した。 原発攻撃が予想される場合、経済産業相が原子炉停止を命じることを盛り込んだ。 この様にNBC対策を具体的に示したほか、避難地域の指定や警報発令など国や地方自治体の初動対応も具体的に定めましたが、この指針では国と地方自治体の役割分担は明確化したが、最も重要な住民自身の役割は示しておらず主要国で義務付けられる消火活動や被災者救援などで協力する「民間防衛」への住民参加がすっぽり抜け落ちたままであり、「指針は肝心の部分が抜け落ちている」(防衛庁幹部)との批判も出ています。 さて、日本全国津々浦々同じマニュアルで「国民保護」ができるわけではありません、簡単に言えば大都市と離島と過疎の進む村では避難方法にも大きな違いがあると言うことですね。 で、国の作った指針を元に今度は 第三十四条(都道府県の国民の保護に関する計画) 都道府県知事は、基本指針に基づき、国民の保護に関する計画を作成しなければならない。 第三十五条(市町村の国民の保護に関する計画) 市町村長は、都道府県の国民の保護に関する計画に基づき、国民の保護に関する計画を作成しなければならない。 に基づいて各地方自治体は都道府県から市町村まで「国民の保護に関する計画」を作らないといけなくなったわけですね。 しかし、戦後50年近く「軍事」を遠ざけ「国民保護」を無視し続けてきたツケは結構大きいようで、いざ計画を作ろうにも地方公共団体に全く軍事的知識がなく >また地方自治体も、防災訓練を除いて自衛隊の演習に参加した経験がなく、有事の際、自衛隊や米軍がどんな行動を取るのか、ほとんど把握できていない。 と言うのが実情のようです。 また自衛隊側も >だがこれまで、国民保護を目的とする法律がなく、陸自は「すでに住民は避難している」という前提でしか訓練してこなかった。 とまるで旧軍を彷彿とさせる様なご都合想定で訓練や図上演習を行っていたわけですね。 ちょっと考えれば判ることですが「専守防衛=本土決戦」と言うことです、そこに「すでに住民は避難している」「住民はいない」と想定するのは「ご都合主義」と言わざるを得ません。 しかしまぁこればっかりは法整備の不備や革新自治体の影響など自衛隊に非があるというのはちょっと可哀想ですがね。 で、ようやく今回 >このため、陸自は「米軍や自衛隊の行動を知ってもらうことはもちろん、効率的に住民を避難させたりするには、様々な有事を想定したシナリオに沿って、自治体の担当者らと意見交換しながら訓練する必要がある」と判断した。 と言うことになったと。 しかし、有事法制整備以来自治体と自衛隊の意思疎通は徐々に行われているようで、全国で約20程の都府県が自衛隊幹部を職員として採用していて、防災対策の立案や訓練の企画、国民保護法成立に伴う国民保護計画の策定などを担当していると言われています。 中でも東南海地震で大きな被害が予想されている和歌山県は東南海・南海地震などの防災対策を強化するため、今年度から陸上自衛隊の幹部OBを職員として採用するとのこと。 和歌山県は課長級の任期付き職員として1佐クラスの「司令部や一線の部隊など幅広い勤務を経験し、災害派遣の経験を豊富に有するベテラン幹部」を採用したいとし陸自中部方面総監部に人選を依頼しているとのこと。 4月から危機管理局で防災対策全般のアドバイザーとして勤務、平常時は防災訓練の企画や自治体に対する防災指導、国民保護計画の策定などを担当し、災害発生時には災害対策本部に詰め、参謀役として知事、危機管理監を補佐する。 和歌山県が自衛隊の幹部OBを採用するのは初めてで、和歌山県危機管理室は「災害時には自衛隊など関係機関との連携をスムーズに進める必要があり、部隊運用に精通した幹部OBの経験は防災対策に大きな効果があるはず」と期待しているそうな。 時代は変わったもんですねぇ・・・ お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2005.04.04 09:24:44
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