テーマ:NO!某S氏(22)
カテゴリ:「バカの壁」シリーズ
~ビビってるのは誰だ~ さて、最後の第三部では「プライバシー権」について触れておこうと思いましたが第二部で字数が足りなくなったので続きます。 前回で引用した三島由紀夫事件判決とは全く逆の判決も引用しましょう。 ■「プライバシー権」については後述するとして「著作権」について判決理由を詳しく見てみましょう。 まず >本件手紙は、前記のように管長の発言に対する被控訴人自身の考えを述べたものであって、その思想または感情を表明したものといえる ということで「本件手紙=思想または感情を表明したもの」と認定しています。 しかし、 >著作権法が保護の対象とする著作物の意義を「思想又は感情を創作的に表現したものであって」と規定しているところからみて、著作物というためにはその表現自体に何らかの著作者の独自の個性が現われていなくてはならないと解すべきである と「著作物というためにはその表現自体に何らかの著作者の独自の個性が現われていなくてはならない」としています。 これが法律にあるところの「創作的に表現」と言うことですが、この手紙にはそれが無く「思想または感情を表明したものであるが創作的ではない」と言うことになります。 従って >本件手紙の表現形態からみて、このような意味の独自性があるものとして法的保護に値する「創作的に表現したもの」と解することはできない。したがって、本件手紙は著作権法による保護を受けるべき著作物(同法二条一項一号、一〇条一項一号)ということはできないと解するのが相当である。 と言う結論になるわけです。 ここでのキーポイントは「手紙・メールの表現自体に何らかの著作者の独自の個性が現われて創作的表現と言えるか」と言うことですね。 で、「プライバシー権」についてですが >このように被控訴人が連盟本部に対して批判的な発言をしていたとしても、本件手紙の内容が連盟本部に対する批判ではなく、管長の発言に対する批判であることからみて、関係者にとって周知の事実であったとまではいえず、一般には知られていない事柄であったということができる。 >したがって、発信者である被控訴人は、当時の右連盟における地位も考慮すると、右のような内容の本件手紙をみだりに公開されないことについて法的保護に値する利益を有しており、その承諾なしに公開することは、人格権であるプライバシーの権利を侵害するものといわなくてはならない。 簡単に言えばこの事件の場合「一般には知られていない事柄であった管長の発言に対する批判の手紙をみだりに公開されないことについて法的保護に値する利益を有しており、その承諾なしに公開することは、人格権であるプライバシーの権利を侵害するもの」と言うことになります。 この事件について少し判りにくいので補足しますと、この事件はAさん(控訴人)がBさん(被控訴人)に送った手紙を著作で公開されたことに対する裁判の控訴審です。 ・当時両人はある団体の理事長の職にあり、両者ともこの団体組織運営や会費値上げ問題について批判的な立場にあった。 ・ある新聞に掲載されたこの団体管長の発言に対する批判をAさんがBさんに宛てた手紙に書き、その手紙をBさんがその団体を破門になった後に団体批判本の補強としてAさんの手紙を掲載した。 ・Aさんがこの手紙を出した当時は団体組織運営や会費の値上げ問題についてBさんも連盟本部に批判的な立場であると理解し、Bさんを信頼して連盟本部に対する不満を述べていたが、Aさんは連盟本部の健全な発展を願っており、Bさんとは違い連盟本部と別の組織を作るようなことは考えておらず、自身の批判によって連盟本部の状況は徐々に改善されていると感じており、現在では本件手紙を書いたことを悔やんでいる。 ・Aさんは連盟本部の役員でありながら、破門されたBさんとの三年以上も前の私信を意思に反する形で公開され、連盟内部に混乱を招いた原因を作ったという責任を痛感して、すべての役職を辞任した。 これらの事実を総合し、AさんはBさんを信頼して率直な気持を打ち明けた手紙をBさんが無断で本件書籍に登載したというプライバシーの権利の侵害によって大きな精神的苦痛を被ったことが認められ、その精神的苦痛に対する慰謝料としては金五〇万円が相当であると言う判決が下りました。 まぁ今回の事例とはかけ離れているので参考にはならないかもしれませんが「プライバシー権」が「個人が自由に私生活を営む上でみだりに自分の私生活を公開されない権利」であり「プライバシー権の侵害」を「みだりに公開されないことについて法的保護に値する利益を有している一般には知られていない事柄を相手の承諾なしに公開すること」であるとすれば ・彼の私に対する批判・誹謗中傷やぼたんの花擁護は彼の日記やそれに対する私の反論から一般には知られていない事柄ではない。 ・よってみだりに公開されないことについて法的保護に値する利益を有しているとは思えない。 ・彼へはメール公開を度々通告し、通告後も度々彼は書き込みを続けている。 ・よって、彼以外の人は皆認識している事からも通告を認識できず反論の機会がなかったとは考えにくい。 これらの事を総合すれば「プライバシー権の侵害」にあたると主張するのは「彼のメールに著作権がある」と主張するよりは随分争う余地がある事も事実でしょうが、立証は難しいのではないでしょうかね。 また、彼のメールが私に対する脅迫・名誉棄損であると言う指摘も随分あります。 であるとすれば、メールの公開はメールによる脅迫という不法行為に対する「正当防衛・緊急避難」にあたるのではという意見もありました。
■まぁどっちにしろプライバシー権や彼のメールが不法行為であるかについては裁判所で争ってみないと判りませんが、彼のメールに著作権はないというのは確かそうです。 参考リンク ・著作権法 ・刑法 ・民法(法庫) ・三島由紀夫の手紙事件-手紙の著作物性(Netlaw) ・日本ユニ著作権センター/判例全文・1996/04/26(日本ユニ著作権センター) ・■想像してごらん、■ お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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