テーマ:政治について(20230)
カテゴリ:「バカの壁」シリーズ
~弾道弾防衛とアスペルガーと妄想と(その2)~ 前半からの続き もしかすると彼はMDというものがどういうものなのか根本的に理解できていないのかも知れません。 それは次の一文から推測できます。 >もし、相手側がミサイルを本当に日本に向けて発射する意思を持っていたのなら、厳しく抗議する必要がありますが、日本の判断が誤りだった場合には補償することも必要かも知れません。 意味不明ですね、何を補償するんですか? 例えばアメリカを狙った北韓の弾道弾を我々が迎撃して見事撃破したところ、相手から「それはチョッパリを狙ったものではないニダ!アメリカを狙ったニダ!チョッパリに謝罪と賠償(ry」と言われたら相手の撃った弾道弾を補償するんですか? 繰り返し言っているようにMDとは相手が弾道弾を発射して初めて機能するシステムです。 特に >米国がアルバニアの中国大使館を誤爆したという事件もかつてありました。 MDと誤爆を一緒のものと考えているつーのはどうなんでしょうか。 繰り返し言っているようにMDとは相手が弾道弾を発射して初めて機能するシステムですから-だから弾道弾『迎撃』システムという-基本的に受動的なものです。 しかし誤爆は-考えたら分かる事だが-こちらが爆撃に行った過程で-Aという目標を狙った爆弾が技術的な問題で逸れてBに当たったのか、Bという目標をAという目標と『誤認』して爆撃したかにもよるが-起きるミスですから能動的なものです。 根本的に違うものを一緒に考えるというのはやってはいけないことですね。 現にMD防衛関係の自衛隊法改正案でも「海上における警備行動」を定めた自衛隊法八十二条に次に次の一条を加える事となっています。 ■今回衆院通過した改正案の原文がなかったので古いものを朝雲新聞から借りてきましたが、新聞報道によれば衆院安全保障委員会で表現を一部修正の上、可決されたとのことですので大幅な変更はないでしょう。 また同時に同委員会では迎撃命令を出した場合に遅滞なく説明責任を果たすことなどを求める付帯決議も全会一致で採択したそうです。 で、この改正案を簡単に纏めると ミサイル防衛を行う際には 1.弾道弾が我が国に飛来するおそれがあり 2.弾道弾の落下によって国民の人命又は財産に対する被害を防止するために必要がある場合は 3-1.余裕がある場合は内閣総理大臣の承認を得て 3-2.緊急の場合はあらかじめ防衛庁長官が作成し、内閣総理大臣の承認を受けた緊急対処要領に従い 4.我が国領域又は公海の上空において弾道弾を破壊する。 5.破壊した後は結果を速やかに国会に報告する。 と言うことですね。 >このために、民主党は、国会への事後報告と国会の事後承諾を自衛隊法改正案に書き込むように求めていましたが、与党はこれを拒否したまま法案を成立させてしまいました。これでは、蘆溝橋事件の失敗の再現の可能性を許すことになります。 これではまるで与党は国会への事後報告と国会の事後承諾を法案に盛り込まなかったかのように見えますが >改正案では、〈1〉弾道ミサイル発射の明確な兆候があり、首相の承認(閣議決定)を得て防衛長官が迎撃を命じる場合〈2〉「緊急の場合」に備えて防衛長官が期間を定めた迎撃命令をあらかじめ出し、緊急対処要領に従って部隊が迎撃する場合――の2通りの弾道ミサイル破壊措置の規定を新設する。破壊措置をとった場合、国会報告を義務づける。 (弾道ミサイル迎撃の自衛隊法改正案、衆院通過・読売新聞・2005年6月14日13時53分) と、国会への報告は元々盛り込まれていました。 彼の嘘なのか認識不足なのかは分かりませんが、あるものを無いかのように騙るのは悪質ですね。 と言うことで現状では彼の言う >これでは、蘆溝橋事件の失敗の再現の可能性を許すことになります。 と言うのは繰り返し言っているようにMDとは相手が弾道弾を発射して初めて機能するシステムですから、相手から弾道弾が飛んでこないと機能しないと言うことも考えれば-MDと蘆溝橋事件が同質だと無理矢理仮定しても-妄想と言うことです。 >北朝鮮のような危ない国がある以上は、ミサイル防衛は必要でしょう。でも、ここに厳しい文民統制をかけておかないと、いざ、緊急迎撃のシステムが誤作動を始めたときには、既に収拾の着けようがないという事態が起こりえます。それが、先の大戦だったのに。やはり、日本は先の大戦の反省が足りない。 ああ、なるほど。 「やはり、日本は先の大戦の反省が足りない。」と言う結論に至るが為の論理でしたか。 だから先の大戦の発火点となった蘆溝橋事件が登場してくるわけですね。 で >でも、ここに厳しい文民統制をかけておかないと、いざ、緊急迎撃のシステムが誤作動を始めたときには、既に収拾の着けようがないという事態が起こりえます。 すでに軍事的知識のある方には明白なことですが彼は根本的に文民統制の意味を間違っていますね。 今更解説するまでもありませんが「文民統制」とは >シビリアン・コントロールとは、 「文民」すなわち政治家が「軍事に関する最高指揮権」を持ち、「軍部」の上位にあって、これを統制すること。軍に対する政治の優位、もしくは民主主義的(議会)統制を意味する。 (シビリアン・コントロール - Wikipedia) >英語civilian control(シビリアン=コントロール)の訳語。文民が、軍人に対して指揮統制権を持つという原則。 (文民統制) と言うことで「軍人に対して政治家が指揮命令系統の上位に存在し、指揮統制的優越権を持つこと」と言うことです。 平たく言えば「軍人ではなく政治家が軍隊の最高指揮官になること」と言うことです。 今回のMD防衛のための自衛隊法改正案をみても、 ・迎撃までの余裕がある場合→内閣総理大臣の承認を得てから。 ・緊急の場合→あらかじめ防衛庁長官が作成し、内閣総理大臣の承認を受けた緊急対処要領に従って。 と言うことで、総理や防衛庁長官は文民たる政治家ですので文民統制は守られていると言うことです。 しかも >5 内閣総理大臣は、第一項又は第三項の規定による措置がとられたときは、その結果を、速やかに、国会に報告しなければならない。 と国会への報告義務も課しています。 何が不満なのか、何で国会承認を求めるのか、私にはさっぱり理解できません。 まさか国会の承認がないと文民統制ではないとでも言う気なんでしょうか? もしかしてかの朝日新聞の名言「一発だけなら誤射かもしれない」と言うことを蕩々と説いておいでなのでしょうか? ところで >いざ、緊急迎撃のシステムが誤作動を始めたときには、既に収拾の着けようがないという事態 と言いますが、それってどんな事態ですか? 先程彼が述べた二例をもってしてもMDシステムが「誤作動」する可能性は皆無ですし、繰り返し繰り返し述べているようにMDとは相手が弾道弾を発射して初めて機能するシステムですから、相手から弾道弾が飛んでこないと機能しない訳です。 そして、弾道弾の迎撃は「我が国領域又は公海の上空において」と定められるようですから、相手に被害を及ぼす可能性は皆無です。 むしろ、我が国領域で中途半端に迎撃してしまい弾道弾本体の破壊には成功したものの弾頭が生き残って落下した場合など、我が国民の身体・生命・財産に危害を加える場合の方が大きいわけですね。 で、繰り返し言ってきた究極の防衛兵器たる弾道弾防衛システム-彼の言う「緊急迎撃のシステム」-が誤作動して弾道弾を発射した国にどんな被害を及ぼすのでしょうか。 まぁ恐らく彼は無視するでしょうが、彼のレベルでも反論できそうな人には稚拙であれ反論しているところをみると、無視すると言うことは反論できないと同意義なのでしょう。 しかしまぁ日頃政府与党には「説明責任」を五月蠅く言ってる彼には「私は議員じゃない」などと惚けたことを言わずにきちんと説明していただきたいですね。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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