頑張れお母さん!頑張れ先生!
ウチのクラスに、H君という男の子がいる。彼は、4歳にして4人兄弟のカシラで、家では“お兄ちゃん”でいることを余儀なくされている子である。お母さんは会社に勤めているので、幼稚園から帰ると、彼はおばあちゃんと弟たちと過ごしているんだけど、日中は日中で妹たちに手がかかるので“お兄ちゃんはガマン”、お母さんが帰ってくれば、弟たちがお母さんから離れないので僕はガマン、という生活。甘えたくても我慢して、ワガママしたいけど我慢して、今まで頑張ってきたけど、お正月明け、とうとうキレちゃった。いわゆる、登園拒否、というやつ。お母さんは今日から仕事始めで、僕が幼稚園から帰ってきてもお母さんはいない。今までは、お母さんが休みだったから、それでもちょっとは甘えられたけど、もうそれもできない。幼稚園行きたくない!!!!まあ当り前の反応、ではある。びっくりしたのはお母さん。そりゃそうだ、2学期は毎日元気に登園してたんだから。表向きはね。私は、彼が遊んでいる姿や何気ない表情から寂しさを感じ取ることはできたし、お母さんにも伝えてきたけど、お母さんも忙しいし、実際その子の下に3人も控えていたらもうどうしようもない。お母さんが仕事を辞めて、家に居てくれるのが一番いいんだけど、今のご時世、そんな事が許される状況じゃない。私にできるのは、彼の辛さを少しでもお母さんにわかってもらう事。お母さんの辛さもわかってあげる事。それから、彼がほんのちょっとでも泣ける場所を、私が作ってあげる、ということ。そのくらいしかできないかな。無力で、情けないけど、本当にいい子だから、まっすぐ育って欲しいと心底思うし。H君は、もう今までずっと頑張ってきたから、もう頑張らなくていい。だから、今度はお母さんと私が頑張ろう、そう思う。