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カテゴリ:上海生活
国慶節のお休みの最後の日、出かけるときに口紅を塗ったら口が右にねじまがってしまうようになっていた。笑うと更に口が右にねじまがる。口に力をすこし入れただけでもねじまがる。いったい私の顔に何が起こっているのか・・・全然見当がつかなかった。
次の日は更にひどくなっていた。 左目が閉じないし、顔の全体が右に寄ってしまう。 どこかの血管が詰まったのかもしれない!と思い、早速ウェルビーの電話医療相談に電話して日本人の医師に聞いてみると「顔面神経麻痺」だろうと言われた。末端の神経が麻痺しているのであって、脳に問題があるのではないということだった。 ちょっと安心したので、あまり深刻に考えずに台湾人のお友達のご主人の勤めている台湾系の病院へ行った。腕とお尻に注射を一本ずつされて、安静にしていれば一週間ほどで元にもどりますよと言われ帰ってきた。 顔面神経麻痺はストレスとか疲労でも起こるらしい。三女が夜中に何回も起きるのでかなり寝不足だったのは確か。それに祭日の間、アイさんも休みだし、主人と長女は日本に行っていたし。小さいのを二人抱えて疲労がピークに達したのかもしれない。薬を飲む関係で三女の授乳も完全にストップすることにした。夜中に泣いたら主人に寝かしつけてもらうことにし、私は静養に専念した。 ところが薬を飲んでも一向によくならない。3日後には口まで動かなくなってきた。舌はしびれて味も感じない。左まぶたは閉じないし、顔の左半分は笑っても無表情なまま。忙しくてパソコン見てる暇もなかったのだが、ネットを調べてみると、顔面神経麻痺は元に戻るまで5~6ヶ月、しかも、麻痺症状が出てから5日目までの対応で後遺症が残るかどうかが決まる!と書かれてあった。ひぇぇぇ~~~!「対応が遅れたために不幸な顔のまま悩んでおられる方もいらっしゃいます」とも・・・。「不幸な顔」には納得して笑ってしまったが、5日目までの対応にはあせった。次の日がその5日目だった。 早速関連ページを全部プリントアウトし、熟読した。普通日本ではステロイドを10日間点滴し、入院することもあるらしい。低周波の顔面マッサージは絶対するなと言う事だったので、再診のときに台湾人の医者に勧められても頑なに断った。それに考えていたよりも深刻な事態だということがわかったので、顔面神経麻痺の専門医がいる華山病院に転院することにした。ここは上海でも最高の医療が受けられる病院と言われている。 担当の医師はちょっと高齢?という感じだったが、ちゃんと顔を触ったり、表情のテストをしたり、慎重に診察してくれた。それに、薬の量や注射の指示などネットで勉強したような対応だったのでひとまず安心した。休息を十分にとることが一番大事だと強く言われたが子供が3人いるのでなかなかそうもいかない。でも授乳を止めてからは三女も寝る時間が長くなったので、私も長く寝られるようになっていた。 注射はお尻に毎日10日間。この筋肉注射はすご~く痛い。でも我慢して毎日、日曜日も病院に行った。それと平行して、ウイルスをやっつけるレーザー治療と炎症を抑えるマイクロ波治療、それに血行をよくするための赤外線治療を一時間ほど毎日。これは日本の病院では行っていないようだった。中国の医療のほうが進んでる?なわけないけどなぁ・・・。 10日間の治療で麻痺の進行を完全に止め、それからリハビリ治療になったが、これは更に恐怖だった。顔面、耳の後ろ、頭、手に合計8本の鍼を刺し、低周波の電気を流す。口の周り、頬、おでこに鍼を刺すときはとても痛いし、鍼の先にはコードがつなげられているのでちょっとでも動くとまた痛い。毎日半べそをかきながら治療した。1時間半から2時間の治療は長かった。それにリハビリには低周波の顔面マッサージも入ってきたので、ネットで読んだように後遺症が出るのが怖かった。 欧米人の友達はそろって、「顔面麻痺に薬や治療法なんかない。5~6ヶ月何もしないで麻痺がなくなるのを待つだけだ。」という。確かに何もしなくても70%の患者は自然に治ると日本のネットでも読んだ。しかし、残りの30%になったらと思うと怖くて治療を断れない。自然に治るのだったら、確かに時間とお金を無駄にしてるのかも知れないけど、今回は中国人の医師の方を信じることにした。 でも実は鍼治療が痛いので2回ほどサボった。タクシーには乗ったのだが、病院に行きたくなくて、行き先を「豫園」に変更して一日ショッピングをしていた。しかしこれもストレスを解消するという意味ではリハビリにあたるのかもしれない。 鍼治療の効果か、麻痺のほうは目に見えて回復していき、4回目のリハビリでは普通の笑い顔になっていた。6回目の鍼治療のときリハビリの先生にもうリハビリを終わらせたいと言ったが、あと4回残ってるから一日おきに来ればいいと言われた。しかし、鍼は相変わらず痛いし、低周波マッサージの後遺症も心配だし、次の日にはリハビリには行かずに脳神経科の医師に予約を取ってもらい直談判した。見た目は何も問題ないし、残りはゆっくり回復したとしてもかまわない。残り4回のリハビリ治療費は払い戻してもらわなくていいから、もう来なくてもいいって言って、と泣きついた。すると、あっけなく「いいですよ」だって。麻痺が発症してから4週目だった。 病院から開放されたことと、思いがけない早い回復は本当に嬉しかった。まだまだ薬は飲まなきゃいけないし、休養もとらなきゃいけないのだが、普通の生活に戻れてほっとしている。 今回のことがなければ存在さえも知らなかった顔面神経麻痺だが、結構私の周りでも経験した人が何人かいた。「私もそうだった」と言った人が3人。家族がそうだったという人が4~5人。さらに今日会った友人も口の左側だけ麻痺していた。彼女は今個展の真っ最中で、準備で疲労がたまったそうだ。 車の窓を開けて片側だけ冷やしたり、風邪のウィルスだったり、疲労やストレスだったり、要因はさまざまだが、まだこの病気の原因は解明されていないらしい。誰にでも起こりうる身近な病気だったと言うことを、今回初めて知った。 疲労とストレス、気をつけなきゃね~。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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