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2010年07月27日
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カテゴリ:映画

病原菌に感染したスパイが逃げ込んだ列車が封鎖される。列車の行く先は、廃線の爆破される鉄橋だ。

この有名な映画の環境設定は、人間の意識と無意識の葛藤とよく似て見える。

列車の乗務員、乗客、スパイと彼らを追い詰める諜報機関の間で、様々なドラマが生まれては消えるのだが、封鎖された列車の空間は、まるで、外界から遮断された、人の心のようだ。


サイコセラピー(カウンセリング)の予備面接は、私というキャラクターの来歴を、臨床心理士に伝える作業である。


偶然乗り合わせた乗客たちの個性は、意識と無意識を併せ持つ人間の姿に似ている。

私達人間は、生まれ育った環境、出会った事象、自分自身の選択によって、意識的にも無意識的にも様々な自己を育ててしまうものなのだ。


突然閉鎖された列車の中で、人々は、自分の立場や将来に必死の抵抗を試みる。


これまで、自分の生き難さは、自分自身が至らないせいだと感じていた。だから、自分に努力できること、自立すること、周囲に認められることはないか、血眼で探し回っていたような気がする。

疲れ果てた上、更に心と体の傷を深くしたけど。


しかし、以前お世話になった先生の言葉から、自分自身の思考の傾向は善悪で判断すべきものではないと聞き取ることができた。

例えば、ひとりでいるのが気楽なら、そうできるなら、そうしていてもいい。
なぜなら、社会との関わりの中で身についたこと<対人恐怖>は、個人がすべての責任を負うのは難しいということだ。

だから、出来る範囲で、自分なりに生きやすい生活スタイルを模索してきた。


それでも、人間は、何らかの形で集団に関わらなければ、自分がただの生物のように感じられてしまう。魂を感じ取ってもらえないのに、人間らしく振舞えるだろうか?


たとえ成長の過程で人間関係に深い傷を負い、そのことに苦しみ続けるとしても、自分自身を生き直す時間は、まだ残されている。


人間関係への不安が強い私は、走り続ける列車の窓(比喩だよ)を開けて飛び降りようと思ったことが何度もある。

次にまた過去と同じ手順で、社会に出ようとしたら、また列車の窓を開けようとしてしまうかもしれない。


そうしないためのセラピーである。

人間86.44年(日本女性の平均年齢)、信長よりも36年も長く、世界を相手にする時代なのだから、人生の遠回りも致し方ない。






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最終更新日  2010年07月27日 09時58分17秒
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