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テーマ:介護・看護・喪失(5318)
カテゴリ:母のこと・介護
事件、事故、時事・・・ネタは結構ある。 母が倒れた時は、まだ小泉内閣だった。 それが安倍内閣→福田内閣になったのは勿論のこと、 母がファンだった毎日放送の元アナウンサー・平松邦夫さんが 大阪市長選に当選したことも伝えた。 「あ、そうや。今、年金とC型肝炎の問題が大変なことになってるんやけどなぁ」 理解できるか否かは別として、私は時事ネタを話し続けた。 「昔にええ加減なことしてたツケが回ってきてん。 今の厚生労働大臣は不運としか言いようがないんやけどさ」 私の顔は見ているものの、何の反応もない母。 「その大臣やねんけど、舛添要一って覚えてるやろ? 国際政治学者の」 聞いてはいるんだろうが、無言。 「覚えてない? ようテレビに出てたやん?」 すると、母の口から声が漏れた。 「分からん・・・」 「お? おおお!? 今、"分からん"って言うた!?」 軽く頷く母。 「そうか、分からんか! 舛添要一は分からんでええわ! お母さんが"分からん"って言うたことが分かったのが嬉しいわ!!」 私は笑いながら、母の手を握ったり軽く叩いたりした。 お見舞いに来てくれた人の名前や、「おはよ」「ばいばい」等の要求された言葉なら、 不明瞭でも聞き取れる。 しかし、突発的に出た言葉は、なかなか理解できない。 それが聞き取れるというのは、本当に嬉しいことだ。 母自身も、それが通じたというのが嬉しいのだろう、左の口角を一所懸命上げていた。 (右顔面は麻痺しているので動かない) 笑顔にはなっていないが、それが今の母にできる精一杯の喜びの表現なのだ。 半年に一語でもいい。 こうして言葉がゆっくり戻ってきてくれれば。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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