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テーマ:昔の日本映画(74)
カテゴリ:日本映画(1961~70)
貧乏長屋に暮らすブリキ職人一家の、明るく逞しく生きる姿を描いた秀作。原作は豊田正子の『粘土のお面』で、2001年の市川崑監督『かあちゃん』とは別物(逞しい母というあたりは共通するが)。
評価:☆☆☆ ブリキ屋職人として腕はよいがお人好しの父ちゃん(伊藤雄之助)は、仕事をしても手当を持ち逃げされたりちょろまかされたりで、相変わらずの貧乏暮らし。しっかりもののかあちゃん(望月優子)は、持ち前の機転で何とかやりくりして家計を支えるが……。 暮らしは非常に貧しいが、人情に溢れて(近所で)お互いに助け合う時代は確かにあったのだろうなということを感じさせてくれる一編。最後には結局、長屋を夜逃げすることになるのだが、夜逃げしていく姿もこそこそしたものでなく、堂々としていて、そして明るい。 社会環境・政治の不整備・不条理はある意味、昔も今も変わらないのだろうが、その中で逞しく生き抜いていくことの大事さを痛感させられる。まぁなかなかそうは生きられないのが人の性でもあるのだが。 映画的には、カメラを固定して捉えた伊藤と望月の夫婦の会話・掛け合いが絶妙で、面白い。 なお劇中で度々歌われている(口ずさまれている)「ラ・マルセイエーズ」(フランス国歌)が非常に印象に残った。 今の時代だからこそ、一見の価値がある映画と思う。 『「粘土のお面」より かあちゃん』 【製作年】1961年、日本 【配給】新東宝 【監督】中川信夫 【原作】豊田正子 【脚本】館岡謙之助 【出演】伊藤雄之助、望月優子、二木てるみ、津沢彰秀、北沢典子 ほか 中川信夫監督公式ホームページ http://www16.plala.or.jp/nakagawa_nobuo/ お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2007.06.08 15:54:31
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