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分太郎の映画日記

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2007.04.14
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 ラテン版わらしべ長者のような話、かな。“わらしべ”にあたるのが犬のボンボンで、彼のお陰でついていない主人公に少しずつ良いことが起こって……という話。
 アルゼンチン(スペイン語発音的にはアルヘンティーナ)の南部パタゴニア地方を舞台にした映画が日本で紹介されるのは珍しいのではないか(というかアルゼンチン映画そのものが公開されていない)。
 シネカノン有楽町にて公開初日に鑑賞。

 『ボンボン』 評価:☆☆☆


【あらすじ】
 アルゼンチンのパタゴニア地方。初老ビジュガスは、20年間勤めていたガソリンスタンドが突然に売却されて、あっけなくクビになってしまった。手彫りのナイフを思うようには売れず、職探しも上手くはゆかず、娘夫婦の家に身を寄せてはいるものの居場所がない。ある日、車が故障して困っている女性を助けたお礼に、ドゴ・アルヘンティーノという血統書付の白い犬を譲り受ける。たまたま訪れた銀行の人にドッグトレーナーを紹介され、ドッグショーに出場することになるが……。


 たぶん犬好きの人が見ると、より面白い映画なのだろうとは思う。
 その犬だが、ドゴ アルヘンティーナという品種で、そもそも闘犬目的に作出されたが、いまでは猟犬として使われているという。と言っても映画でのボンボンは、終始のたっとした雰囲気のおとなしそうな犬で、1か所人を咬む場面を除くと、昼寝がお似合いの感じである。
 とくに犬が好きという訳ではないので、ボンボンが可愛いとも思えないが、いわゆる“ラッシー”系のお利口タイプとは違うので、私的には好感度は高かった。

 犬とともに主人公を演じたフアン・ビジェガス(役名と同じ)が朴訥としたたたずまいで好演。これが映画初出演で、撮影が終わると駐車場勤務に戻ったらしい。
 ドッグトレーナーも本人役だそうで、他の出演者も初演技の人が大半、それが「ヒーローでも悪人でもなく、ありのままの姿が忠実に描かれてい」て(スクリーン誌)、他の映画とは一線を画するもになっている。
 この雰囲気を味わうためにだけでも見て損はないかもしれない。

 とはいえ、話的にはちょっと不満はある。
 まず主人公がボンボンに出会うまでの前振りが少し長すぎ。確かにアルゼンチンの失業問題と、主人公の置かれている厳しさはきっちりと分かるのだが。
 また、主人公とボンボンが絆を結ぶエピソードが何か欲しかった。少なくともボンボンが主人公になつくことの説明らしきものはあるべきではなかろうか。
 ラストは、そこからもう一つ先の話を描かないと、映画的なカタルシスがないというところで終ってしまうのが、ちょっと辛いかな。
 あと、主人公に小さな幸せをもたらすポイントとなるドッグショーのシステムがよく分からないのもマイナス。部門ショーの方はともかく、総合の方は、様々な品種から選ぶわけだから、犬に演技をさせるとか何か選考の基準を示さないと、単に一人の審査員の好みで決まっているようにしか思えない。

 ストーリー的な不満はあれど、パタゴニアの風景を撮しとった映画はほとんど見られないし、そして何より鑑賞後にほのぼのとした幸せな気分になれる、そんな映画としてお薦め。

ボンボン』 BOMBON - El Perro

【製作年】2004年、アルゼンチン
【配給】シネカノン
【監督・原案・脚本】カルロス・ソリン
【脚本】サンティアゴ・カロリ、サルバドール・ロセッリ
【撮影】ユーゴ・コラス A.D.F.
【音楽】アベイト&ディアス
【出演】フアン・ビジェガス、ワルテル・ドナード、ミコル・エステヴェス、キタ・カ、マリエラ・ディアス ほか

公式サイト
http://www.bombon-movie.com/





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最終更新日  2007.04.16 09:52:39
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