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テーマ:昔の日本映画(74)
カテゴリ:日本映画(1951~60)
俳優・岡田真澄のデビュー作(らしい)。
ほかにフランキー堺や小林桂樹、清水一郎、新人の神楽坂浮子らによる群像劇で、石原裕次郎を育てた水の江滝子の第一回のプロデュース作品。 ラピュタ阿佐ヶ谷で開催中の「添えもの映画百花綾乱 SPパラダイス」での上映を鑑賞。併映は野村芳太郎監督のデビュー作品『鳩』。 『初恋カナリヤ娘』 評価:☆☆ あるアパートの住人たちと、その隣の小鳥屋の親子をめぐる群像ドタバタ劇で、ヒロインの神楽坂浮子が映画中で主題歌を歌ったり、丹下キヨ子がステージで踊りながら歌ったりと、いわゆる歌謡映画でもある。 1時間という作品の中に詰め込みすぎた感もあり、話としては歌や演奏(フランキー堺のドラム演奏ははっきり言って必要ない)を削って、各ドラマ部分を深めた方が(現在の視点でみると)良いと思うが、当時はそういう“無駄”なものこそ、観客に求められていた(と製作者が捉えていた)のだろう。 また、清水一郎の役柄はもっとコミカルでも良かったかもしれない。最初に感じた以上にシリアスな役で、フランキー堺が一人でコメディリリーフを担当した感じだったのは、ちょっと辛いところ。 小林桂樹演じる警官も、もう少し途中での出番をもたせた方が全体が引き締まったのではないかとか、後半、岡田真澄がほとんど活躍しないのはもったいないとか、まぁ注文はあれこれあれど、1時間、それなりに楽しませてもらったので、よしとするか。 それにしても、若い時の岡田真澄はかっこいいですね。この作品がデビュー作というのはちょっともったいないような気が……。 ミュージカル好きな私にとっては、こういう歌って踊ってという作品が、最近の日本ではほとんど作られないのが寂しいと思う。 まぁ当時のこれらの映画が果たしていた役割の一部は、現在のミュージッククリップが補っているので、その出番が少なくなる訳ではあるのだが。 なお、私の見間違いでなければ(オープニングタイトルは確認しなかった)、バンドのメンバーとして(マラカスを振ったり、ギターを演奏したり)、植木等が出演している。 【追記】Wikipediaや他の人のブログを見ると、間違いではないらしい。これが植木等の映画のデビュー作? ちなみに、今年7月に池袋の新文芸坐で特集上映が組まれるらしい。 【あらすじ】(ネタバレあり) 深夜。巡回の警官の目を避けるように、黒服の男が大型のカバンを抱えてアパートに入って行く。 朝。アパートの隣には小鳥屋があり、警官が昨夜、近所の写真屋に強盗が入ったと見廻りにくる。小鳥屋の一人娘・ハル子は、歌が大好きで、アパートに住むナイトクラブのバンドマン・信吉の紹介で、歌手になりたいと思っている。しかし、父親の金八は大反対。ハル子の母親は彼女を産むと、歌手になりたいと家を出たっきり音信不通であった。 信吉と同室の兄貴分・フラ吉は、昨日アパートに越してきた中年婦人・キヨに散々こき使われた揚句、彼女をバンドマスターに紹介することを約束させられる。キヨの向かいの部屋では、徹夜で麻雀明けした四人組がいた。 夜。キヨがナイトクラブに姿を現したとき、ちょうど金八が小鳥の餌替えにやってきた。彼を見て驚くキヨ。彼女が金八の妻であった。帰る金八に声をかけるキヨ。彼女はマスターのお眼鏡にかなって、契約することになった。 家へ帰った金八は、ハル子に母親のことを切り出せないでいた。朝方の父の反対で、歌手になることを諦める決心をしたハル子は、ナイトクラブの信吉の元へと出かける。 フラ吉と四人組とは、朝の些細な出来事が原因でトラブルになっていた。店の外で喧嘩になるも、フラ吉の機転で店の中へと逃げ出すことに成功する。と鞄をもった男が、マスターに会いたいという。 ハル子の後を追い掛けてきた金八が楽屋にキヨを訪ね、家に戻ってきてほしいと頼むが、ふとした弾みで口論になってしまう。その口喧嘩を立ち聞きしたハル子は、すべてを知って仲裁に入って仲をおさめ、娘の夢を知ったキヨが、自分のステージをハル子に譲ることで、歌手として歌うこともできた。 フラ吉がアパートに帰ると、写真屋の盗難事件の犯人として四人組が逮捕されていた。例の鞄の男は腹話術師で、大きな鞄の中身は女の人形だった。 翌朝。アパートには、金八とキヨ、信吉とハル子、鞄の男と女の人形との仲睦じい姿があった。唯一人残されたフラ吉は、淋しさを抱えて銀座の街をうろつくのだった。 『初恋カナリヤ娘』 【製作年】1955年、日本 【製作】日活 【監督】吉村廉 【脚本】柳沢類寿 【撮影】中尾利太郎 【音楽】清水保雄 【出演】神楽坂浮子(ハル子)、清水一郎(ハル子の父:金八)、岡田真澄(信吉)、フランキー堺(フラ吉)、丹下キヨ子(ハル子の母:キヨ)、小林桂樹(警官)、有島一郎(鞄を抱えた男) ほか お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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