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テーマ:昔の日本映画(74)
カテゴリ:日本映画(1951~60)
現都知事の石原慎太郎が若き日に主演、原作、脚本の三役をこなした作品で、軽妙なタッチのラブロマンス。青山京子、宝田明、白川由美、中村伸郎らが出演している。
ラピュタ阿佐ヶ谷で開催中の「添えもの映画百花綾乱 SPパラダイス」での上映を鑑賞。併映は『チエミの婦人靴』。 『婚約指輪』 評価:☆☆☆ 『日蝕の夏』につぐ石原慎太郎第二回作品ということで、東宝のダイヤモンド・シリーズの第三弾。 ちなみに、弟の石原裕次郎のデビューはこの年である。 大企業のボンボン息子が、幼友達のお嬢さんとの結婚を親に勧められ、何となく婚約指輪を買いにいく。それを、デパートの売り場に置き忘れてしまい、それが縁となって店員とだんだんと惹かれあうが……。という、まぁ軽いノリのラブストーリーだ。 石原慎太郎氏を個人的に好きか嫌いかを問われれば、嫌いの範疇に入るが、この作品での彼の演技はそんなに悪くはない(誉められるってほどでもないけど)。ボンボンのちょっと投げやりな青年を好演している(って地のママか?)。 彼が中心にいると、純情な青山京子が毒牙にかかるように見えてしまったり、嫌なお嬢さん役の白川由美が被害者のように思えてしまって、単純なラブストーリーに思わぬ深みを与えていることを考えると、非常に良かったとも言えるだろう。 話的には、結末が見えてしまっていたり(まぁ50分では、山あり谷ありどんでん返しは無理だろうが)、展開がご都合主義だったり(母〔祖母?〕がお茶のお師匠さんとか)、脚本に難がない訳ではないが、それをキャストの演技――庶民代表の青山京子や、石原の友人役の宝田明、父親役の中村伸郎、祖母役の、そして白川由美らの好演がフォローしていて、鑑賞した後味はそれなりに爽快なものだった。 銀座ほか、当時の都内各所の風景が撮し込まれているあたりも、鑑賞のポイントかもしれない。 各キャストのファン以外の人はわざわざ見に行くほどではないが、機会があれば見ても(たぶん)損はない作品だと思う(少なくとも、石原慎太郎主演ということで、話のネタにはなる、かな)。 【あらすじ】(ネタバレあり) 大企業のブルジョワ家庭に育った河口都喜夫に、親どうしの話合いで、幼友達の松原節子との婚約が持ち上がった。二人ともに異性関係は豊富で、都喜夫はいま一つ乗り気ではなかったが、両親を安心させるため、銀座の宝石店で豪華なサファイヤの婚約指輪を購入した。しかし、デパー卜に寄った際に、たまたま友人の倉田に声をかけられ、売り場に指輪を置き忘れてしまった。 指輪をみつけた売り場の店員・藤井育子は、主任に報告しようとするが忙しく取り合ってもらえず、結局、翌朝の報告になってしまった。主任から窃盗の疑いをかけられた育子は、怒って辞めてしまう。 指輪は都喜夫の元に戻ったが、育子の一件を知ると彼女の家を訪れ、お詫びに新しい勤め口の紹介を申し出るが、自分で探すと断り、かわりに外国映画で憧れていた、一流レストランで豪華な食事をしてナイトクラブで飲んで踊りたいと申し出る。 翌晩、都喜夫のエスコートで夢のような時間を過ごすが、ナイトクラブで節子と倉田にばったりと出会った。二人の仲睦じい様子に嫉妬した節子は、育子の兄が彼女の父の子会社に勤めていると知り、優越感を抱くのだった。 育子と親しくなった都喜夫は、節子と結婚する気になれず、婚約指輪もしまい込んだままだった。一方の育子は、節子が好きな倉田から、都喜夫と節子の関係を告げられ、兄からも不相応だと諭されるが、都喜夫から日曜日の小巻家のパーティーに一緒に参加しないかと誘われると、承諾の返事をする。 パーティでは、節子は自分が都喜夫の約者だと誇示するが、二人の親しさに焼きもちをやくばかりだった。そこで、倉田が一計を案じる。鶴代が大磯で開催しているお茶会に、偽手紙を使って育子を誘い出して、恥をかかせようというのだ。 当日、節子の一言で育子がお茶をたてることになるが、一座注視の中でも、育子は作法に叶った姿を披露する。都喜夫の祖母も両親も満足気であり、喜んだ都喜夫は、東京へ帰る車の中で育子に例の婚約指輪を贈り、熱いキスを交すのだった。 『婚約指輪』 【製作年】1956年、日本 【製作】東宝 【監督】松林宗恵 【原作】石原慎太郎 【脚本】石原慎太郎、若尾徳平 【撮影】小原譲治 【音楽】宅孝二 【出演】石原慎太郎(河口都喜夫)、青山京子(藤井育子)、白川由美(松宮節子)、宝田明(倉田洋一)、中村伸郎(都喜夫の父)、村瀬幸子(都喜夫の母)、三好栄子(都喜夫の祖母:鶴代)、伊豆肇(育子の兄)、中北千枝子(育子の兄嫁)、宮田洋容<宮田羊容>(デパートの主任)、園田祐子(店員:葉子)、小泉澄子(店員:エリ子)、緒方みどり(宝石店の女店員)、三原秀夫(宝石店の支配人)、塩沢登代路(小巻夫人) ほか お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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