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分太郎の映画日記

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2007.05.11
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 市川雷蔵主演の、西部劇風の異色アクション時代劇。原作は、大藪春彦が唯一執筆した時代小説『孤剣』中の一篇「掟破り」。
 東京・池袋の新文芸坐で開催中の「市川雷蔵変幻自在」にて鑑賞。併映は『大殺陣 雄呂血』。

 『赤い手裏剣』 評価:☆☆☆☆

 タイトルからは忍者もののイメージだが、冒頭に書いたように、西部劇風のアレンジを施した異色のアクション時代劇で、一言でまとめれば

 市川雷蔵版『用心棒』

ということになるだろうか(『用心棒』は黒澤明監督、三船敏郎主演の時代劇の名作)。
 宿場町でにらみ合うやくざが3組に成っていることと、主人公が革の羽織に革の袴、武器は洋風な赤い手裏剣という西部劇風である点が違うが、やくざどもを相互に闘わせるという話の構造は同じといって良い。
 というよりも、ハメットの『赤い収穫』以来のパターンか。

 『眠狂四郎』『忍びの者』に続く市川雷蔵の時代劇シリーズの第三弾として企画されたようだが、ヒットしなかったのか、続編は製作されていない。
 手裏剣をばしばし打つかと思えば、白の着流しでチャンバラの大立ち回りを繰り広げるなど、行動的な主人公を市川雷蔵が楽しそうに演じているのを見ると、続編が見たかったなと強く思う。
 当時の観客には異色すぎて、理解されなかったのだろうか。

 この作品をチャンバラウェスタンの名手、岡本喜八が撮っていたら、さらなる大傑作になったような気がする。
 まぁ当時の映画界で、(巨匠は別に)東宝の若手監督が大映の看板スターを起用してというのは、まず不可能だったであろうが。
 そして、いわゆる西部劇で生き生きと活躍している市川雷蔵の姿をつい夢想してしまった。

 市川雷蔵の所作・立ち振る舞いがきびきびしているのは、この映画に限ったことではないが、いつになく乱暴な荒っぽい口調がとてもよい。
 栗毛の馬を駈る姿も充分に堪能できるし、言うことのない作品だ。

 難点を言えば、先にも書いたように忍者ものと誤解を招くこのタイトルか。もっと新しいスタイルの時代劇だということをアピールするものの方が良かったと思う。

 ニヒルでもコミカルでもない、新たな雷蔵の姿を味わえる作品としてお薦め。


【あらすじ】(ネタバレあり)

 鉱山景気でわきたつ宿場は、三組のやくざ──仏の勘造(山形勲)一家、絹屋(須賀不二男)一家、そして炭屋の松次郎(吉田義夫)一家──が張り合い、無法と暴力の町と化していた。ある日、仏の勘造一家と絹屋一家のちょっとした小競り合いに、突然馬で割り込んで来た浪人(市川雷蔵)は、手裏剣の技でその場を治めてしまった。男の名は伊吹新之介。馬宿のお雪(小林千登勢)に馬を預けると、一番勢力の小さい炭屋の松次郎の元に草鞋をぬぎ、五十両の金で仏一家を潰すと請け負う。
 怒った仏の勘造は、凄腕の伊吹をやっつけるために殺し屋を集め、そこに現れたのがブーメランの遣い手、北風の政だった。仏の勘造の情婦で飲み屋のおかみ・千波(春川ますみ)に魅かれて、仏一家に腰を落着けることにした。勘造らがかつて盗みだした御用金二万五千両の隠し場所を探していた千波は、政に勘造殺しをもちかける。
 その頃伊吹は、襲ってきた殺し屋を返り討ちにして、死体を炭屋に運び、約束の金を手にする。すると、仏の勘造の入浴中を脅かし、炭屋と絹屋を潰すきっかけを百両で売り込んだ。潜入させていたスパイからそのことを聞いた絹屋は、炭屋にかけ込んだ。驚いた炭屋が馬宿へ乗り込むが、お雪は伊吹をかばい、絹屋の情報を頭から否定した。
 絹屋は仏一家との一戦を覚悟して、炭屋へ応援を頼む。しかし、仏の代貸があらかじめ酒樽を持参して仲裁を頼んできたのをまに受けて、炭屋は絹屋を追い返すが、酒宴を開いている最中に炭屋に殴りこみをかけてきたのは、仏一家だった。炭屋は滅ぼされた。
 時を同じく、絹屋に乗り込んだ仏の本隊は、絹屋の奇襲に会う。苦戦するなか、勘造は裏切者の佐助を斬る。佐助はお雪の兄であった。炭屋を全滅させた一隊が本隊と合流すると、仏一家は盛り返し、絹屋の親分の首を政のブーメランが切り落とした。
 残るは仏一家だけ。一方、負傷の身をお雪に助けられた伊吹は、千波を脅して金の隠し場所を聞き出す。それは山の廃坑だった。山へと急ぐ仏一家に奇襲をかけた伊吹は、得意の手裏剣で相手を倒していく。その間にかけつけた千波は、小判の箱に達したところで落盤で惨死した。
 政のブーメランを封じて彼を倒した伊吹は、お雪へ置手紙と二万五千両の金を託すと、いずこともなく姿を消すのであった。


『赤い手裏剣』

【製作年】1965年、日本
【製作・配給】大映
【監督】田中徳三
【原作】大藪春彦(『孤剣』[徳間文庫]所載の「掟破り」より)
【脚本】高岩肇、野上龍雄
【撮影】宮川一夫
【音楽】塚原晢夫
【出演】市川雷蔵(伊吹新之介)、小林千登勢(馬宿の娘:お雪)、春川ますみ(飲み屋のおかみ:千波)、山形勲(仏の勘造)、須賀不二男(絹屋源兵衛)、吉田義夫(炭屋松次郎)、南原宏治(北風の政)、水原浩一(九兵樹)、伊達三郎(文造)、若杉曜子(お春) ほか


原作本

自著
『雷蔵、雷蔵を語る』

村松友視著
『雷蔵好み』

『市川雷蔵出演映画
作品ポスター集』

山根貞男著
『完本市川雷蔵』





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最終更新日  2007.05.23 13:06:14
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