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テーマ:昔の日本映画(74)
カテゴリ:日本映画(1951~60)
『父と暮らせば』『紙屋悦子の青春』の黒木和雄監督による、東京電力の横須賀火力発電所の記録映画の第2弾。
「水」を主題とした『海壁』に続く本作では、タイトル通り「火」をテーマに、いよいよ発電所本体の建設作業を捉えていく。 東京・京橋の東京国立近代美術館 フィルムセンターで開催された「追悼特集 映画監督 今村昌平と黒木和雄」での上映を鑑賞。併映は『海壁』『東芝の電気車輌』。 『ルポルタージュ・炎』 評価:☆☆☆ 『海壁』が埋め立てと防波堤つくりという、発電所建設の基礎の基礎のみを映していたのに対して、土台づくりに始まり、炉心の建設、配線や火入れ(点火式)まで、発電所の本体が形づくられていく様を克明に捉えていく。 といっても前作同様、単なる記録映画ではなく、冒頭から、焚き火(キャンプファイヤー?)を囲んで若者たちが裸踊りをしているとおぼしきシーンから始まる(と私は思ったのだが、バレーらしい(^_^;)。ボカした映像なのでよく分からない)。 また、ラスト10分くらいは、夜の東京・銀座の(ネオンに揺れる)映像を中心にしたモンタージュを、一切のコメンタリーなしで流したり、また全体的に松村禎三による音楽も前衛的だったりと、インディーズ作品の香りも濃厚に漂うような仕上がりだ。 ただ、『海壁』が潜水夫や工事夫などの人間対自然を(ドラマチックかつ淡々と)撮りあげていたのに対して、本作では人の描写を極力廃し、機械の機能美を強調するために、建設に必要な科学技術の解説に終始してしまったような感じで、巨大建設物オタク(結構多いらしい)や発電所フェチな方にはともかくとして、私的にはあまり面白くはなかった。 やはり、こういう建設ものは、“人”を中心に描かないと、共感の対象が乏しくなって、魅力が半減してしまう。前作の『海壁』が稀有な存在だ、と言うべきかもしれないが。 もっとも私の子どもの頃にこの映画を見ていたら、当時想像されていた未来像を先取りしたような感じで、面白く鑑賞できたような気もする。 ともあれ、科学技術に従事する人で、映画を趣味とするような人は、機会があれば、『海壁』とともに一度は目にしても損はないと思う。 『ルポルタージュ・炎』 【製作年】1960年、日本 【企画】東京電力 【製作】岩波映画 【監督・脚本】黒木和雄 【撮影】小村静夫 【音楽】松村禎三 【ナレーション】長門裕之
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最終更新日
2007.06.20 14:43:56
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