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分太郎の映画日記

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2007.06.03
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 三波春夫のデビュー曲にして大ヒット曲の『チャンチキおけさ』をモチーフにした歌謡映画で、三波春夫本人も重要な役で出演している。
 ラピュタ阿佐ヶ谷で開催中の「添えもの映画百花綾乱 SPパラダイス」での上映を鑑賞。併映はザ・ピーナッツのデビュー映画『可愛い花』。

 『チャンチキおけさ』 評価:☆☆

 昭和歌謡界の大御所(だったと思う)、三波春夫は、この映画の公開された前年1957年に、それまでの浪曲界を離れて、歌手としてデビューする。デビュー・シングルのA面が「チャンチキおけさ」で、当時としては220万枚の大ヒット。
 翌1958年は、日活が歌謡映画を量産しはじめた年で、そういうタイミングで作られたのが本作。

 「歌をモチーフに」と書いたが、まず主人公は“おけさ節”の本家、新潟の佐渡出身。映画の締め括りも、おけさ踊りだ。
 歌詞1番の♪知らぬ同士が 小皿叩いて♪のフレーズは、まさに三波春夫の登場シーン。屋台とも見間違うような小さな飲み屋に、二谷英明扮する主人公の兄が立ち寄ったとき、小皿を叩きながら「チャンチキおけさ」を歌っていたのが、新顔の客、三波春夫扮する春さんだ。
 また2番の、恋人の娘を一人置いてきて、母親は達者かというのは、主人公の設定そのもの。ただ、主人公は恋人と母親を心配している様子ではないが。
 3番の、大きな夢を抱えて故郷(くに)を出て(上京して)きたが溜め息、というのも、佐渡から出てきた主人公が、結局東京で華を拓くことが出来ずに、帰ってゆくという話の流れそのものだ。

 とはいえ、歌詞そのものは暗いながら、三波春夫が歌うとどこか明るい調子をおびてしまうのだが(それがこの唄の魅力でもある)、その明るい雰囲気が映画のストーリー展開のイメージと微妙にずれているのが(後半は、やくざの密輸品をめぐる話だし)、作品評価としてちょっと辛いところか。

 また、三波春夫が、途中のやくざの組に入ったと告げる場面や、ラストの正体が判明するシーンで、彼のニコニコ顔がかなり“浮いて”しまっているのも、厳しい感じがしてしまう(本人が悪い訳ではないが)。
 演技的にもやや難ありだが、これはもともと俳優ではないのだから、要求すること自体が間違っているだろう(その辺、同じ歌謡界の大御所だった美空ひばりが、役者としても才能を発揮したのとと大きく違うところか)。

 話は、佐渡で家業の漁師が嫌な主人公が、一華咲かせたく上京するが、就職もままならず、憧れていた次兄にも失望して、やくざの手伝いをするようになり、結局夢破れて佐渡に戻る、というもの。
 あっ、こうまとめてみると、当時の上京者の大半が映画の主人公と同じような立場にあったと思うが、鑑賞中は違和感のあった三波春夫の唄の明るさは、彼らが抱いていた一筋の希望として、意味のあったものなのかもしれない。

 監督の小杉勇は、戦前は俳優として、『限りなき前進』や『真実一路』、『路傍の石』、『土と兵隊』、『王将』など数々の傑作に出演、戦後は監督に転業して、おもにテレビで「刑事物語シリーズ」「機動捜査班シリーズ」などを残している。
 脚本の池田一朗は、後に『影武者徳川家康』などの傑作時代小説を著す隆慶一郎。

 映画の冒頭とラストは佐渡ロケが実施されたようで、添えもの的なプログラム・ピクチャーでありながら、結構お金をかけている様は、映画全盛時代の底力を感じさせる。
 また隅田川からみた周辺(浅草の松屋デパートのでかでかとした有り様とか)や競艇場など、当時の東京の一断面を切り取っているという意味で、「銀幕の東京」ファンは楽しめる作品かもしれない。

 出来としては可もなし不可もなしという感じだが、往時を知る意味では悪くないかとは思う。もちろん三波春夫ファンは必見だろう(ってかなら年齢層は上の方になりますが)。


【あらすじ】(ネタバレあり)
 新潟・佐渡。漁師一家の三男・田所三郎(沢本忠雄)は、長男・源一(長尾敏之助)から始終 小言をくらうのに嫌気がさし、都会への憧れが募るばかり。ある日、兄と喧嘩して、心配する母親・ふさ(紅沢葉子)と恋人・千枝(香月美奈子)を残し、家を飛び出して上京してしまう。
 東京には、元競艇の選手で、現在は遊覧船を運転しているという次男の太平(二谷英明)がいたが、実際は水上バスの運転手であった。仕事帰りに、行きつけの飲み屋に太平が顔を出すと、新顔の春さん(三波春夫)が良い調子で「チャンチキおけさ」を歌っていた。その晩、上京した三郎は、憧れの東京で競艇選手になって良い暮しをしたいと言うが、地道な生活を進める太平。
 翌日、三郎は競艇場に行ってみると、客から太平が以前に八百長レースをやったとの噂を耳にして喧嘩になってします。太平は弟の就職先を探すが、なかなか見つからない。水上バスなどで何かを顔を合わせる春さんにも相談するが、春さんは長谷部組の盃を貰ったという。一方、三郎は、ダフ屋稼業に勤しむチンピラの金公(近江大介)の喧嘩を助け、一緒にキャバレーへ飲みに行く。そこには、長谷部組の組長・長谷部(長弘)が、ダンサー・野見京子(横山美代子)と酒を飲んでいた。野見は、太平の元恋人。子分の森(青木富夫)から、三郎が太平の弟で船の操縦ができることを聞いた長谷部は、三郎を子分にする。
 太平は三郎の就職先として石川島の修理工を決めてくるが、飲み屋で春さんから、三郎が長谷部組の子分になったことを聞いて愕然とする。慌てて帰宅した太平は三郎を諫めるが、三郎は八百長をしたではないかと詰って、アパートを出てしまった。三郎は野見のマンションへ行き、勢いで彼女をベッドに押し倒すが、「私は長谷部の女」との一言に黙って逃げ出してしまう。
 長谷部は密輸を行っていた。その船の操縦を三郎に任せるのだった。弟を追いかけてきた太平は、野見に久しぶりに再会する。そして、長谷部に八百長を強要されたが、嫌で手が震えてボートを転覆させてしまったと打ち明ける。野見から三郎が長谷部の密輸を手伝っていると聞いた太平は、モーターボートで追いかけて、船上で格闘になるが、多勢に無勢、三郎とともに捕まってしまう。倉庫に監禁され、海に沈められようとする二人。しかし、そこに現れた警官隊に救助されるのであった。警官隊の中には春さんこと三杉刑事がいた。三杉は長谷部組を内偵する潜入捜査官だった。
 三郎は佐渡に帰る。そそて、地元の祭りで千枝と楽しそうにおけさを踊る。
 東京では、飲み屋で背広姿の三杉刑事が、皆と一緒にお別れの「チャンチキおけさ」を歌う。隣には太平がいたが、歌の途中で席を立つと、一人寂しく帰って行くのであった。


『チャンチキおけさ』
【製作年】1958年、日本
【製作・配給】日活
【監督】小杉勇
【脚本】池田一朗、小川英
【撮影】柿田勇
【音楽】小杉太一郎
【出演】沢本忠雄(田所三郎)、二谷英明(三郎の次兄:田所太平)、香月美奈子(三郎の恋人:千枝)、三波春夫(春さん、三杉)、堀恭子(飲み屋の娘:町子)、横山美代子(キャバレーのダンサー:野見京子)、近江大介(町のチンピラのダフ屋:金公)、長弘(長谷部組組長:長谷部雄三)、青木富夫(長谷部組の代貸)、長尾敏之助(三郎の長兄:田所源一)、佐久間玲子(源一の妻:田所春江)、紅沢葉子(三郎の母親)、河上信夫(飲み屋の主、町子の父) ほか



CD『チャンチキ
おけさ』

CD『三波春夫
ベストコレクション』

自著
『歌藝の天地』

北原照久
『昭和アンソロジー』
-日本を元気にした歌-





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最終更新日  2007.06.08 12:34:23
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