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カテゴリ:外国映画(アメリカ)
ヒュー・ジャックマン、クリスチャン・ベール主演の、二人のマジシャン(奇術師)の確執を描いた傑作。監督は『メメント』『バットマン ビギンズ』のクリストファー・ノーラン。
ワーナー・マイカル・シネマズ板橋のレイトショーにて鑑賞。 『プレステージ』 評価:☆☆☆☆
大変に良くできた映画だ。 細かな伏線が張られた脚本もさることながら、主役二人の心理描写の演技力と演出力は、たいへんに見事だ。2時間強の上映時間が短く感じられるほど濃密な映画であった。 できるだけ余計な知識を仕入れずに虚心坦懐に見に行くのがベストと思う。 以下は、基本的にネタバレはしないように記述するつもりだが、勘のよい人には微妙にはバレてしまう可能性があるので、ご注意を。 上述のように素晴らしい作品ではあったが、映画の難点の一つは、時制が行ったり来たりするのがやや分かりにくいこと。 ボーデンが逮捕されて裁判のシーンから始まるが、これを現在とすると、アンジャーが死んだ(近い)過去、二人が競い合っている(中くらいの)過去、アンジャーの妻が死ぬ前までの(やや遠い)過去、などが入れ替わって描かれる。 映画に慣れてくると、きちんと描き分けられているので混乱することはないとは思うが、『メメント』のクリストファー・ノーラン監督だよちうような知識がない場合には、映画が始まった当初は少なからず混乱するのではないだろうか。 もう少し整理できていれば、さらに良かったのではないだろうか。 個人的には、ボーデン側のトリックは早い時点(サラの家での出来事)で気がついたが(ミステリー好きであれば当たり前か)、アンジャー側のトリックは、本当にこんなSFチックな(ファンタジックな)仕掛けなのかなぁと半信半疑のまま、ラストシーンの水槽の中に“あるもの”を見るまでは確信できなかった。 終了後にパンフレットを見ると、この映画はクリストファー・プリースト『奇術師』の映画化と知った。 この小説、実は私も持っているのだが、例によってツンドク状態。 もともと早川書房の「プラチナ・ファンタジー」の1冊として刊行されたのだから、まぁトリックもそれはありだなと納得。 もう一度映画を見直して、細かなシーンを確認したい欲求に駆られた。 (その前に原作を読むべきか?) 知り合いの評論家によれば、原作はさらに入れ子上の記述になっているとのことで、そういう意味では、映画の脚本はかなり大幅にアレンジされていたようだ。 ちなみに原作者のクリストファー・プリーストは、私的にはある意味で懐かしいSF作家で、彼の『スペース・マシン』や『ドリーム・マシン』(いずれもH・G・ウェルズの『タイム・マシン』にオマージュを捧げたSFの傑作。創元SF文庫)、『逆転世界』(サンリオSF文庫→創元SF文庫)などをいずれも楽しく読んだ。 『魔法』(早川書房)はファンタジーだが個人的には今ひとつ、『双生児』は未読。 映画ファン的には、鬼才デヴィッド・クローネンバーグ監督の映画『イグジステンズ』のノヴェライズ本を著した人としての方が有名かも知れない。 SFが好きな人には『スペース・マシン』はお薦めです。 自然科学を一応の生業とする身としては、劇中にニコラ・テスラが登場することが嬉しいが、それをデヴィッド・ボウイが演じているというのが、世代的にはたまらないプレゼントだ。よくぞ引っ張り出してきた。 役者的にはスカーレット・ヨハンソンの使い方がもったいなかったような気がする。途中で消えてしまったし。 評価は、クリスチャン・ベールとマイケル・ケインが並ぶとどうしてもバットマンを思い出してしまって、個人的な印象としては醒める部分があったのと、1個マイナスにしたが、普通であれば☆五つにするであろう傑作と思う。 多くの人にお勧め。 『プレステージ』 THE PRESTIGE 【製作年】2006年、アメリカ 【提供・配給】ギャガ・コミュニケーションズ 【監督・脚本】クリストファー・ノーラン 【脚本】ジョナサン・ノーラン 【原作】クリストファー・プリースト『奇術師』(ハヤカワ文庫FT) 【撮影】ウォーリー・フィスター 【出演】ヒュー・ジャックマン(ロバート・アンジャー)、クリスチャン・ベール(アルフレッド・ボーデン)、マイケル・ケイン(カッター)、スカーレット・ヨハンソン(オリヴィア)、デヴィッド・ボウイ(ニコラ・テスラ)、パイパー・ペラーボ(アンジャーの妻:ジュリア・マッカロー)、レベッカ・ホール(ボーデンの妻:サラ)、アンディ・サーキス(テスラの弟子:アリー) ほか 公式サイト http://prestige.gyao.jp/
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