【中古】 ルポ 老人地獄 文春新書1056/朝日新聞経済部(著者) 【中古】afb
利益を得ちゃいけない代わりに税の優遇を受ける
社会福祉法人(これが介護施設をたくさん作っていて、
これが経営する事業所のサービスは要件を満たすと-めちゃ厳しい要件-利用料の
割引を受けられる)がカネを貯め込むカラクリはさすが経済部だなあ
と感心する気迫の取材です。
儲ける所は介護サービスが必要な利用者そっちのけで儲け、
一番大変なケアマネージャーは一人立ちできる稼ぎが得られず
(仕事量が多くて引き受ける人数に限界があるのに決められてる介護報酬が低い)
大手企業のヒモつきになり、不要な(ヒモ企業の)サービスをケアプランに入れ、
要らないサービスと知らずに受けされられている利用者と
それに気づかない家族、気づいてもケアマネと気まずくなるのを怖れて
言い出すことができない現状。
結局は、自分の役割を深く理解したケアマネを育て
企業に属さない独り立ちできる報酬を支払うことが利用者のためにもなる
という結論になってた。
また高齢者を取り巻くお金と病気、助けが必要な時の手段の問題にも触れてます。
老齢基礎年金だけでは(えと、月にして6万5千円くらい?)暮らしていけない
現実、
そこそこ年金をもらっているひとでも一度病気をしたら医療費やら退院後の
受け入れ先(自宅療養ができない場合)の問題がすぐに出てくることや
年金に比べて高い健康保険料が支払えない人に
容赦なく襲い掛かる役所の差し押さえ(自治体によりますよ^^;)
の問題などにも触れています。
ご近所さん同士の連携や若いボランティアとの普段の交流が
大事になって来るんじゃないか、という話に行きついていた(ような)。
きっと取材した人は、若いんだろうな。
かれらが現状に触れて感じるのは「義憤」「怒り」なんだと思う。
「いい歳」の私が彼らの書いた本を読んでまず覚えるのは
自分の近い将来の姿じゃないか、という「恐怖」と「不安」。
読んでて辛くなってくる所と、
人の老いをカネ儲けのタネにつかう脂ぎった善人たちに腹がたつところと
ちょっと希望が見えて、君達頼むよ、と託すところと。