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*ニソロを見上げ、モシリに立つ*

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カントコトロ

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2007/02/19
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カテゴリ:遡行エッセィ
高校三年生の頃、
すごく好きなコがいた。

俺は自分にコンプレックスがある。
それは今も変わらない。

体型や鼻、それに中々自分を開いて打ち解けられない事。

それらが自信の無さにも繋がっていた。

それでも恋心はいつしか芽生えるもので…


彼女が部活でバスケットをしていた。

小さい体で懸命に走る姿はとても印象に残り、そんな彼女の事が気になり始める。

同じクラスだった事もあり、彼女の姿が目に入る度、胸がなんかムズムズした。

汽車で帰る時、わざわざ彼女の部活の終わる時間に合わせるように、学校で友人とギターやったり、話をしたりしてつぶして、同じ汽車で帰ったりしていた。


そんな悶々した日々が続き

学校では卒業の準備やらで慌ただしくなってきていた。

その時期から、仲がよかった同級生同士でカラオケや遊びに出掛ける事が多くなった。

その中で、彼女がいたりしていたから俺はドキドキした。


卒業間際、そんな俺が一大決心をする。


告白しよう…!

友達にもこの恋は相談したりしなかった俺が

自分で決めた。

今思い返しても、凄い事だと自分を誉めてあげたい。


いや、それでもやはり

直接、面と向かって言うのは俺には到底無理だったのは言うまでもないが。


そこで考えてついたのは


『電話』



決行日。

彼女が家にいるだろう時間は当然、夜だろう。

この日までの間、会話のシュミレーションは数えきれず行なってきた。

準備万端である。

夕御飯を食べ終え、部屋に戻る。

再度、開口一番の会話を反芻して…

よぅし、行くぞぅ!

もちろん家では電話できない…携帯もない、更に受話器に線がまだついているうちの電話。

目指すはすぐ近くの駅の

公衆電話。

俺はこの日まで、この公衆電話に入り、実地のシュミレーションも怠らなかった。


その集大成を今、決行しようとしていた。

母「どこ行くのぅ!?」

俺「そこの本屋…」

母「だったら父ちゃんのタバコま買ってきて!」

俺「………」

この入試試験の時よりも酷く緊張している俺に向かって

それはないだろう…。

そんな俺の事態など知る由もない母は勢い小銭を握らせた。

気を取り直して外へ出て、向かう。


****


公衆電話ボックスの中へ入る。

番号の書いてるメモを取り出し、受話器を上げる。



いや…下げる。


上げる。

下げる。上げる、下げる。

何度、この行為を繰り返しただろうか…

なんとも情けない。

終いにはボックスから出てしまう始末だ。

煙草を取り出し、一服をする。

うん、少し落ち着いたか。

気を取り直し、受話器を上げる。番号をゆっくりと、確かめるかのように押していく。

最後の数字……

押した!

トゥルルル……カチァ。

「もしもし、〇〇です」

俺「……!」
おーいおぃ!?いきなり彼女本人かぁーい!

俺の完璧なシュミレーションでは、まず親が出て…云々。

それが彼女が始めに出てきた事で、そっからの計画かグズグズ…頭から一気に崩れ落ちたのだ。


もぅ手に汗滴り、震えが止まらない。

俺「あ……あっ、ぶーだけど」

彼女「え?えー!どーしたの?」

はぃ…そっからの会話はご想像にお任せ致します…。



案の定、撃沈だった訳です。

よく巷で聞く彼女の断り方。

「今は付き合うとかできないかな?やりたいことあるし…」



卒業して、後で知りました。

俺が告白する以前から、付き合っている彼がいた事を。

しかも、そいつは早弾きギターでモテモテだったあの男…



もー気になってしょっちゅう見てたんだから、気付けよ……俺!


いやね、その彼女とは卒業してから暫らくして

とんでもない場所で再会してしまうのです…




その話しはまた今度♪





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Last updated  2007/02/19 06:11:05 PM
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