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カテゴリ:日常生活
警察から逃げようとして変電所に入り込み、移民系少年が二人感電した事件をきっかけに起こったパリ北東郊外の暴動。連日、各地に拡がっていく様子がニュースになっており、感電死した少年達の家族の呼びかけや、イスラム主導者の呼びかけ(というのは暴徒はアラブ系やアフリカ系のイスラム家庭の子弟であるため)にもかかわらず、激化する一方だった。内相サルコジが、公の場で暴徒を「racailles(ゴロツキども)」と(正直に)言ってしまったのが火に油を注いだようである。個人的には、自分の町の幼稚園や保育園までも燃やす馬鹿どもをゴロツキと呼んで何が悪いのだと思うが、まあ、とりあえず鎮静化を優先させなければいけない内相の立場としては確かにまずかったかもしれない。
(いつも思うのだが、サルコジって、他の政治家とは違い、どんどん実行にうつして仕事を誰よりも真面目にしてるのにもかかわらず、右からも左からもゴロツキからも嫌われやすい。なんだかストレート過ぎて上司からも部下からも疎まれている熱血課長みたいだ。 そして、ついに非常事態宣言と、郊外各地には必要とあれば夜間外出禁止令を出して良いという指示が出された。水曜日にLe Parisien紙に出されたアンケート結果によると、73%のフランス人は夜間外出禁止令許可の措置に賛成だそうである(現在までの放火や襲撃は夜間に行われている)。今宵は既に郊外都市で夜間外出禁止令が発動されはじめている。放火の燃料に使われているエンジン用燃料の容器での販売をとりあえず禁止した地区もある。 暴徒達はミッテラン時代に移民専用に作られた郊外のHLM(低所得者住宅)に住む移民(これはひとつの社会層をなしている)の子弟である若者たち。平均年齢は16歳だそうで、若者というより、はっきりいって「少年」に近い。暴動は、政治的主張よりもむしろ "C'est la fete!(祭りだ祭り!)"というノリによって拡がっているようだ。感電死した二人に捧げられたブログすら、「全部ぶっ壊せ」などといった彼らの煽りの場とそれに反対する人たちの喧嘩の場になってしまい、ブログホストのskyblogは彼らのコメントを削除し、ブログ主も「このサイトは追悼のための場だ!」と遺憾の意を表明している。 うちの近所の公園を狸さん(うちの赤子)を連れて散歩していたら、「C'est la guerre!戦争だぜ」と興奮して携帯電話で話している14歳ぐらいの少年を見掛けた。少年は携帯で話をしながら、遠くのほうに立っている二人の少年にフクロウのような声をあげてなにやら合図していた。この手の光景はよく見掛ける。大抵は少年グループ同士の争いであるが、今回はひょっとして暴動の相談なんだろうか? 同じ公園の番人さんに異常がなかったかきいたら、指さしながら「昨日はあっちの方とあっちの方で車が燃えてたよ。」と平然と教えてくれた。新聞には全く載ってなかったのに。 もしかしたら、2台の車は、暴動分としてではなく、サッカーの試合分として警察にカウントされ、マスコミに計上されなかったのかもしれない。以前も、サッカーの試合の翌日、うちの近所で車が黒こげになっていたのを見つけたことがある。実は、車を燃やすというのは、この手の若者のお祭り騒ぎに時によくあることで、暴動の時に限ったことではないのだ。もちろん何千台という規模はやっぱり異常事態だけども。 関連リンク:内田樹氏の分析 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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