祝婚歌:吉野弘
今日は私の好きな吉野弘さんの詩を…。吉野弘さん、著作権云々、どうぞお許しください。そして、いいなと思ってくださった方、ぜひ、吉野さんの詩集をお買い求めください。 祝婚歌 吉野弘 二人が睦まじくいるためには 愚かでいるほうがいい 立派過ぎないほうがいい 立派過ぎることは 長持ちしないことだと 気づいているほうがいい 完璧をめざさないほうがいい 完璧なんて不自然なことだと うそぶいているほうがいい 二人のうち どちらかが ふざけているほうがいい ずっこけているほうがいい 互いに非難することがあっても 非難できる資格が自分にあったかどうか あとで疑わしくなるほうがいい 正しいことを言うときは 少しひかえめにするほうがいい 正しいことを言うときは 相手を傷つけやすいものだと 気づいているほうがいい 立派でありたいとか 正しくありたいとかいう 無理な緊張には色目を使わず ゆったりゆたかに 光を浴びているほうがいい 健康で風に吹かれながら 生きていることのなつかしさに ふと胸が熱くなる そんな日があってもいい そしてなぜ 胸が熱くなるのか 黙っていてもふたりには わかるのであってほしい今日はむくみがひどく、眼が十分に開けられません。脚もパンパン。で、もう筋弛緩剤を飲んで、寝ることにします。おやすみなさい。今日の福井は暖かでした。とうとう、春がやってきたようです。