子育ては最も厳しい修業の一つ
保育園に迎えに行くと、2歳娘の様子がおかしいのに気がつきました。いつもは笑顔で、駆け寄ってくるのに、怒った顔をして「帰らない」と言い続けています。説得しても、頑として、譲りません。通常よく効く必殺技「保育園にお泊りするの?」も効果なし。「うん」「じゃあね、バイバーイ!」と固い表情で答えるだけでした。一度姿を消して、しばらくして戻ってきても、様子は変わらず。。。いつまでも保育園にいるわけにいかないので、保育園の外に出すと、背中を向けて、身体を固くして、私の手を振り払って、抱っこも拒んで、泣き叫び始めました。「もっと遊びたかったんだね」「帰るの嫌だったんだね」と、あれこれ気持ちを受け止める言葉をかけてみても反応がなく、ますます激しく泣き続けています。家に帰って、抱っこしても、のけ反って苦しそうに泣き続ける娘。この行動の背後に隠された彼女の気持ちは何だろう?と、思い巡らせました。そして、ふと思い当たることがありました。娘は、6月4日(月)から、風邪で調子が悪かったのです。朝から熱が高めだけど、保育園に行けない程でもない。保育園でお昼寝の後、熱が上がる日が2日続きました。「できれば早く帰ってきてほしい」と保育士さんから連絡があっても、私は新しい仕事のアポイントメントがあって、それが終わるまで帰れませんでした。娘は保育園で、おでこに冷えピタを貼りながら、不安な気持ちで、なかなか帰ってこない私を待っていたんだ。具合が悪い時に、私が側にいなくて心細かったんだ。娘の体調不良とつれあいの出張、新しい仕事、自分の頭痛などが重なって、私はここ数日家でイライラすることが多かったんです。娘はそんな私に、家で思い切り甘えることができなかったのだと思います。私は心のどこかで、娘は強いから大丈夫という期待があって、娘の気持ちをしっかり受け止めていなかったことに気付きました。「辛くて、苦しくて、淋しくて、腹がたって、おうちに帰りたくなくなっちゃったんだね。保育園で、ずっと待っていてくれてありがとう。○○ちゃん、頑張ったね」と声をかけると娘はうんうんと頷きながら、魔法がとけたように身体の力が抜けて、私にくたっとくっついて涙と鼻水でベタベタな顔で笑ってくれました。先日、井上ウィマラさんのお話を聞く機会がありました。「子育ては最も厳しい修業の一つだ」というお話が印章的でした。最後に「風の谷のナウシカ」の1シーンをみました。主人公が動物に噛み付かれた時、痛いのをぐっとこらえてその子に言葉がけしながら、あたたかいまなざしで見守るシーンでした。その子はだんだん落ち着いてきて、主人公を舐め始めます。この「不思議な力」が、お母さんの力。子育てしていると、何度も子どもに噛み付かれるような経験をするけれど「不思議な力」を発揮して子どもの心に寄り添っていこう。これが、ウィマラさんのメッセージ。私は鈍感なので、子どもの本当の気持ちがわからずとんちんかんな対応をしてしまいがちです。これから子ども達の成長とともに、もっともっと難しい問題にぶつかるでしょう。今回の娘のダダコネは、かなりガブリとやられて、痛かったけど、これが私の「不思議な力」なんだ!と実感できる出来事でした。子どもの困った行動の背景には、必ず受け止めてもらいたい気持ちがあります。どんな気持ちがあるのか、間違ってもいいから、いろんな問い掛けをしてみるといいかもしれません。子どもは、親が自分と真剣に向き合ってくれることが何よりうれしいですからね。