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September 28, 2005
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カテゴリ:sweet days
「ごめん、急な納品が入ったけ、1時間ばかし出てくる」

戦闘服スーツを身に纏ったキミ。
急な納品で慌てていたのだろう。
テーブルには、ポツン、と財布が取り残されていた。
この中には、彼が決して見せてはくれないものが入っている。免許証だ。
私のそれを取り上げては、しかめっ面の写真を一人で眺めるくせに、
彼はどんなにお願いしても、ただの一度も自分のものを見せてはくれなかった。

免許証不携帯で運転させるのは、彼の肩書き云々関らず不味いよね
全く気付いていないだろう彼に、テーブルの上に財布を忘れていることを電話で知らせた。

勝手に見たりしたら怒るんだろうな…
頭では分かっているものの、見たい、という衝動は抑えられない。
本人が居ないとは言え、人様のものを勝手に覗き見るのはルール違反だ。でも、でも―

ごめんね、勝手に見ちゃうよ
見てしまった、ずっとずっと見せてはくれなかった彼の免許証を。
そこには私の知らない顔をした彼。今から2年くらい前の、私の知らない彼の顔。
そういえば、荒れていた、と以前聞いたことがある。きっとその頃の写真なのだろう。
私の知っている彼の顔よりも、随分と鋭くキツイ、冷たい印象を受ける眼差しをしていた。
だけど、ショックを受けたのは写真なんかじゃない。免許証に記された彼の本籍を見てだ。

住所は今と同じだが、本籍は『彼女』と暮らした家のまま。
勝手に見たくせにショックを受けた。

「面倒臭かった、忘れてたなんていう理由じゃないよね。
だって、キミの性格上、引っ越したら直ぐに本籍を現住所に移しそうだもんね。
本籍を向こうのままにしているのは、亡くなった彼女のことを忘れないため?」

頑なに彼が見せようとしなかった理由は、
写真の写りが悪いから、じゃなくてそこにあるような気がした。





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Last updated  September 29, 2005 12:52:03 PM
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