suspicion(疑惑)
我が家では、ある疑惑が浮上している。それはご主人様の浮気疑惑でもなく、私の浮気疑惑でもなく―私が乳癌に侵されているのでは?という疑惑。うちのご主人様は毎晩、寝るための儀式(?)として、必ず私の乳を気の済むまで揉む。ある晩のこと、いつものように彼は、ゴソゴソと私の寝巻きの上着をたくし上げて、乳を揉みだした。「Σ( ̄■ ̄;)いっちゃんの乳にしこりがある!!」「んぇ~?」「ほらっ!右乳にコリコリしたのがあるやろ!!」「ああ、もう直ぐ生理が始まるからやろ」「本当に?今まで生理前でも、こんなしこりなかったくない?」「毎月こんな感じだべ?」「乳癌じゃないよね?」「乳腺が張ってるせいやろ」「本当に本当?もし乳癌だったら、最悪、癌細胞がリンパに乗って全身に転移するかもしれんのよ。全身に転移したからじゃ遅過ぎるんよ。いっちゃん、皆を置いて死んじゃうかもしれんのよ」「生理が終わって暫く経っても、しこりがあるようなら検診に行くよ」「絶対やけね!俺を置いて、先に逝くのは嫌やけね。一緒に長生きするんやけね!!」何かにつけて、大病気ではないかと疑われる。どうやら、先日、テレ朝系列で放送された『本当は怖い家庭の医学SP』の影響を受けたようだった。このしこりは、生理前で乳腺が張ってるせいで、乳癌のしこりではない、と私は思ってるんだけど…そんなに私のことが心配?って心配にもなるわなぁ。あんな“過去”があるんだもん。もしも、私が本当に病気で、突然死んでしまったら、この人は―私は死ねない。生理が終わって、まだしこりがあるようであれば、乳癌の検診に行くことにしよう。