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「体調が悪い時だけ、甘えるんやね」 普段、私は彼にベッタリくっ付いたりはしない。 ベッタリくっ付くことが苦手、というわけでもなく、 私が甘えられない性格だから、というわけでもない。 何かをしていて、ちょっかい出されれば反応するし、 甘えられればギュッと抱き締めてることだってある。 日常生活において、その逆だって、勿論ある。 ただ、普段、私から、ということがあまりないだけだ。 「あんまり甘えてくれんのやね」 自宅に持ち帰った仕事をしながら、 リビングでTVを見ながら彼は言う。 彼が何かを始めると、それに合わせて私も動き出す。 掃除、洗濯、食事の支度・後片付け、アイロン掛け… 転寝している彼に毛布を掛けて、横に座りお勉強。 私のそんな様子を見て彼が、少し寂しげに言う。 もっと自分に甘えてくれても良いのに、と。 『猫のようにピッタリくっ付いて、甘えたい』 という気持ちはあるよ。 でもね― “彼は今、○○してるんだし、 私は別のことをしておいた方が効率良いかな” “疲れているのだろうから、暫くそっとしておこう” という考えが先行するの。勝手に体がそう動く。 (やっぱり甘えられない性格?) 例外もある。 眠かったり、体調が悪かったりすると、 彼が何をしていようがお構い無しにピッタリくっ付く。 「本当、勝手なヤツだな。我が侭な猫みたい。 眠たい時と体調が悪い時だけ、俺に甘える」 寝そべった私の髪を撫でながら、彼は言う。 そして、いつもこう付け加える。 “いつもこうなら良いのに…” いつだってそうしていたい気持ちはある。 だけど、理由がないとすることが出来ない。 自分の中でそうする理由を作れないと出来ない。 「普段、ちょっかい出すと、毛を逆立てる。 眠たい時と体調が悪い時は、体を摺り寄せる。 我が侭で勝手気儘な猫と一緒に住んどるみたい」 いつだったか、彼からそう言われたことがあった。 我が侭な性格なのは、私がよく存じ上げております。 でも、そんな私に惚れたのは、あなたでしょ? つき合ってやってくださいな。 「眠たい時と体調が悪い時だけ、甘えてくる。 でも、いつも元気をくれてありがとう」 私がシュンとしていると、彼も暗い顔になる。 私が元気で笑顔で居れば、彼の笑顔も増える。 自分の姿を鏡に映してみたかのような、その表情。 ああ、そうか。 そうだったんだね。 私は、彼の原動力を補填する充電器の一つなんだ。 だから、毎日出来るだけ笑顔で居られるようにするよ。 だけど、その充電器にだって、充電する時も必要。 今日は、少しだけ甘えさせて―
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