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カテゴリ:感想文
【ストーリー】機関車のやえもんは、古くなってくず鉄にされる運命が待っていました。 以前は大活躍をして、みんなにとてもよろこばれていたのに、新型の電車にとってかわられ、居場所をなくしてしまいます。 ところがある日、交通博物館の人がゆずってほしいと申しこんできました・・・。 機関車やえもんは、蒸気機関車です。新型が活躍しだしてからは、邪魔者あつかいされるようになります。かつては時代の花形だった「やえもん」。まだまだ自分は働けると頑張るのですが、煙突の火の粉でぼや騒ぎを起こし、あわやくず鉄ということになります。最後は博物館に展示されることになって、また大事にされるのですが、もし、物が感情を持っていたら、たくさんの切ない思いがあるでしょうね。 作者の阿川弘之さんは、高名な小説家です。それと同時に乗り物マニアとしても有名な方のようです。そんな方が乗り物が主人公の児童書を書いたのですから、すごくないはずはありません。 「やえもん」はいつも語尾に「シャー」をつけて話します。まるで蒸気機関車の蒸気を吐き出す音そっくりです。「やえもん」が憤慨するところなどは、「なんだ、しゃくだ、なんだ、しゃくだ」と、擬音がちゃんと意味を持っていて、すごいなと思います。 子どもって、こういうの好きですよね。 古くなったやえもんは、いかにも「がんこじじい」という感じの、ちょっと時代遅れなしゃべり方をします。まわりにこんな人がいたら、若い人はほんとに手をやくかもしれないという感じがします。でも、それと同時にやえもんのあせりや切なさなど、いろいろな感情が伝わってきて、とても深みを感じるのです。 私は、どうも洋物にかたよってしまうのですが、こういう本を読むと、日本語の言葉の機微をあやつるというか、訳本にない美しさがあるなと思います。 古いからといってないがしろにされていいことはない、誰もが一つの人生を生きてきて、それはみんな輝いているんだという思いが、小さな子どもにもきっと伝わると思います。 まんが家の岡部冬彦さんの絵がまた、懐かしい時代の雰囲気を伝えていて、このストーリーにぴったりです。 適応年齢は4、5歳からとなっていますが、私は、低学年の子が感想文を書くのにもいいんじゃないかなと思います。 機関車トーマスの次は、こんな本どうでしょう? お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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