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カテゴリ:絵本
「クリスマスのものがたり」フェリクス・ホフマン クリスマス物語の中でも名作と評価の高いホフマンの「クリスマスのものがたり」。実は読んだことがなかったのですが、やっと手に取りました。これは、ホフマン最後の作品でもあります。 以前にも書いたのですが、ホフマンは自分の子供たちへの贈り物として1冊1冊に家族の情景を織り込んで作っています。それと同時に物語に自分の思いを重ねて描いているので、登場人物たちが、生き生きと動いています。 このクリスマス物語も、人物のちょっとしたしぐさに喜びや悲しみ、驚きなどを感じることができます。また、赤ちゃん(イエス)を立てだっこしてみんなに見せる母マリアのしぐさなど、すごくリアルで、そういう描写の積み重ねに、ぐいぐい物語の中に引き込まれていきます。 ストーリーはあまりに有名ですが、幼子イエスが生まれ、佳境に入ると、当時の王ヘロデが、自分の地位を脅かされることを恐れて、ベツレヘムに住む2歳以下の子供をすべて殺すように命じます。天使のお告げでこれを知ったマリアとその夫ヨセフは、イエスをつれて逃げ、難を逃れます。 子供のころクリスマス物語を読んだときは、「ああ、助かってよかった」と胸をなでおろしたものでした。でも、今読むと違うことに思いがいってしまいます。 イエス誕生のために犠牲になった子供たちと親のことを考えてしまうんです。 16世紀に作られた「コヴェントリー・キャロル」は、そういう子供たちをいたむ歌です。クリスマスソングの楽しいイメージとはかけ離れた静かに沈んだ曲なのですが、とても美しい、一度聴いたら忘れられない曲だと思います。 昔からさまざまな形でクリスマスを思う心があったことに気づかされた曲です。 年に一度、自分の幸せ、誰かの幸せ、世界中の幸せを祈る日があってもいいですよね。 左はロリーナ・マッケニットの透明感のある歌声、右は母の慈しみを感じるような歌声で「コヴェントリー・キャロル」が聴けます。右のジェシー・ノーマン、頭はバクハツしてますが、豊かな素晴らしい歌を聴かせていただけるので、気にしてはいけません。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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