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2015.09.21
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カテゴリ:災害・防災
南米チリ沖で発生した地震の影響により本県に18日到達した遠地津波で、県内では40隻以上の漁船が沖合に避難する「沖出し」をしていたことが漁協などへの取材で分かった。東日本大震災では沖出しした船が被災を免れた一方、途中で転覆するなどした例もあったが、今も一部を除き沖出しのルール作りは進んでいない。

80センチの津波を観測した久慈市の久慈港では、到達予想時刻前の午前5時ごろから20隻以上のイカ釣り漁船などが出港。洋野町でも少なくとも8隻程度が自主判断で沖出ししたとみられる。

同町種市の漁業者(64)は、津波が満潮と重なることから沖出しを決めた。「1メートル以上の津波もあり得るので、万全を期して船を出した。津波が来るまで時間があれば準備できるが、いざというときの判断は難しい」と振り返る。大槌町では4、5隻、釜石市でも約10隻が沖出しした一方、陸揚げで津波に備えた漁船も多かった。

津波防災に詳しい岩手大の斎藤徳美名誉教授は「地理的条件や船の規模などが異なるため、沖出しの一律のルール作りは難しい。津波到達まで時間がある場合は沖出しもあり得るが、まずは船よりも自分の命を守るべきだ」と語る。


(岩手日報より)
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沖出しの是非については様々な意見があり、なかんかひとくくりにはできない。
地形や地震(津波)の規模など、状況を考えた中で、どうするのかを判断しなければならない。

水産庁は2006年3月に策定した「災害に強い漁業地域づくりガイドライン」で、対応方法を示している。
それによると

(1)漁船が沖合にいる場合は、水深50メートルより深い海域に避難する
(2)陸上や海岸部、漁港内にいる場合は陸上の避難場所に逃げる

が基本ということになる。

ガイドラインでは沖出しのリスクとして、津波の流速で操船不能になったり、砕けた波に巻き込まれて転覆の可能性が高い点を指摘している。

津波は水深の浅い場所高くなる傾向があるため、避難海域をおおむね水深50メートル以深としており、さらに大きな津波が予想される場合は、より深い水域への避難を求め、津波を乗り切っても、海上で6時間以上は待機することが求められている。

もちろんこれはあくまでもガイドラインであるという点はもちろん、直近の事例でもある東日本大震災が反映されていないという点も考慮すべきだろう。

ガイドラインやマニュアルが整備されたところで、結局のところは一人一人の漁業者の判断にゆだねられる。
沖出しはあくまでも船を守るための手段。その前に優先されるべきは自身も含めた人命を守ること。
斎藤教授のいう「まずは船よりも自分の命を守るべき」という点に尽きるのではないか。





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Last updated  2015.09.21 03:50:18
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