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2015.10.13
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カテゴリ:災害・防災
2004年のスマトラ島沖地震のとき、10歳のイギリス人少女が、津波被害のあったタイのビーチホテルに家族と滞在していました。

彼女はその2週間前に、学校の地理の授業で習った「津波の前兆」を覚えており、そのことが彼女を含めた数百人の命を救ったのです。

少女の名前はティリー・スミスさんと言います。
当時10歳だった彼女は、家族と一緒にタイのプーケットにいました。

ティリーさんは2週間前に、小学校の地理の授業で「津波の前兆である、潮が海岸線から引いていき、白い泡が立つ現象」を覚えていました。
その知識を両親に訴えると、両親は周りの人々やホテルのスタッフに伝え、それによって津波が来る前に避難することができたのです。
彼女のおかげで被害のなかった数少ないビーチのひとつとなりました。

その後、何百人を救った行動が称えられ、表彰を受けています。
海外掲示板でも感心の声が上がっていました。

・彼女は『泡が出てるの、水の泡よ』と何度も繰り返し言い続けたと、父親のコリン・スミス氏は語っている。
・両親は最初、彼女のことを無視していた。しかし彼女はしつこく「津波が来る、聞いてちょうだい」と両親に訴え続けた。
・ようやく父親のコリン・スミス氏を説き伏せることができた。父親はホテルに向かうことにし、ホテルの警備員に近づきこう伝えた。「ええと、ちょっと頭がおかしいと思われるかもしれないが、娘が絶対に津波が来ると言い張るんだ」
・幸運にも警備の人も彼とその娘の言うことを信じ、ビーチにいる人々に警告を発し始めた。
・スミス家が泊まっていたホテルにケガ人は出たが、死者は出なかった。
・その津波で25万人ほど亡くなり、タイでは1万人が犠牲になった。

津波の怖さは、われわれ日本人も痛切に学びましたが、いかに風化させず伝えていくことが重要かを実証しています。


(Livedoorニュース)
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率先避難の成功例。
学校の授業で習ったことを覚えていただけでなく、きちんと実践している点が素晴らしい。
(イギリスの小学校の地理でこういうことを教えていることも驚きだが)

もっとも、こうした成功例を教訓として伝えていくにはそれなりの注意も必要になる。
多くの失敗事例には必然があるのに対して、成功事例には幸運な偶然を伴っているケースが多い。
その場合、次の機会にそのまま実践しても上手くいくとは限らない。

このケースでは前兆があったことで、彼女がそれに気づき多くの人が助かっている。
しかし、津波の前兆は必ずしもあるとは限らないことは注意しなければならない。

例えば『引き波』は津波の前兆現象として良く知られており、度々津波の被害に遭っている三陸地方でも多くの人が「津波が来る際には引き波がある」と伝わっていた。しかしそれは誤信だった。
東日本大震災の際に1600人の犠牲を出した大槌町ではそれが原因で多くの人が逃げ遅れた。

もちろん前兆があれば直ちに避難すべきだ。
しかし前兆がないから安心というのは間違った考え方であり、津波の可能性が少しでもあるのなら空振りを恐れずより高台へと避難することが重要だ。

災害の教訓を後世に伝えていくことは非常に重要なことだ。
その一方で、経験主義に陥り過ぎてもいけないことは各地で起きている災害の多様性を見れば理解しやすい。

その意味では記事に登場する少女が評価されるべき点は、前兆を捉えたこと以上に率先避難を実践したことにあると考えるべきだ。

教訓の伝え方、という意味で教訓になる事例かも知れない。





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Last updated  2015.10.13 00:51:24
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