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カテゴリ:災害・防災
関東・東北豪雨で鬼怒川が越水した常総市若宮戸地区の住民を対象にした同市の説明会が18日、同市原宿の玉文化センターで開かれた。道路と農地の復旧工事の説明だったが、住民の質問は堤防について集中。「何度も市や国に危険性を指摘した」「復旧しても堤防がなければ危険性が残る」など不満の声が相次いだ。
住民約100人が参加した。市は復旧工事を年度内に完了したいと説明。住民からは「堤防に関する説明がなければ不安は消えない」との声が続出した。 同地区にもともと堤防はなかったが、堤防の役割を果たす自然の丘陵があった。だが、昨年3月に「民間事業者の太陽光発電事業により丘陵部が延長約150メートル、高さ2メートル程度掘削された」(同市)。市議会でも指摘され、市が国交省下館河川事務所に連絡、大型土のうが積まれた経緯がある。 質疑で、住民の男性は「国交省側に危険性を指摘したのに聞き入れられなかった」と指摘。別の男性は「(自然堤防があれば)これだけの被害は出なかったはず。国民の生命と財産を守るのが国の役割。人災ではないか」と話すと、参加者から支持する声が上がった。 市は「(太陽光発電事業の)開発許可の権限はない」と説明。市議会の代表は「越水箇所の詳細や調査結果を示すよう国交省側に求めているが、まだ回答がない」と話した。 越水をめぐり、国交省関東地方整備局は自然堤防と掘削の因果関係を否定する調査結果をまとめている。 この日、市は「説明会の会議録を作り、再度、説明会を開く。国交省側にも参加を求めたい」とした。 若宮戸地区の無堤防をめぐっては、市は国交省に築堤を要望していた。 (茨城新聞より) ------------------------------ 指摘されている場所はおそらくここ。 地理院地図ではまだ川沿いに樹林があるが、Googleマップではソーラーパネルらしきものが設置されているのが分かる。 地理院地図で土地条件図を表示させてみると砂丘に分類されているが、自然堤防帯と考えていいだろう。標高は後背地から比べると1~2m高いようだ。 ストリートビューで集落側から見るとこんな感じ。 樹林があるのでこれはまだソーラーパネルが設置される前だろう。 ソーラーパネルが設置される前後をGoogleEarthの鳥瞰画像で比較してみると。 設置前 設置後 浸水時 確かに自然堤防(砂丘)が削られていることが分かる。 ただし、今回の浸水との直接の因果関係は現地を見た専門家でないと何とも言えないだろう。 記事では丘陵という言い方をしているけど(地形分類は砂丘)、ここは一般的な自然堤防と考えて、この地形が一般的にどう解釈されているのかという問題はありそう。 自然堤防は微高地であって、氾濫を防ぐためにつくられた堤防とは異なる。 そもそも洪水によって運ばれた土砂で形成された地形であるから、今回のような氾濫になれば浸水もする。 もちろん、周囲(後背湿地等)に比べると0.5~2m程度高いので浸水しにくい土地ではある。 そのため、自然堤防上では古くから集落が形成されていることが多い(後背湿地は多くの場合水田として利用される)。 微高地なので時に堤防のように水を制する役割を果たすこともあるし、そこを削ればそれはそれなりの結果になることも事実だ。 ただし治水用の堤防ではないので必ずしも氾濫を防ぐわけではない。 また、今回冠水した地域のほとんどがハザードマップの浸水想定区域になっていた。 その上での防災対策や適切な避難ができていたのかどうかは検証しなければならないだろう。 今回の災害が人災なのかどうか(国・市・住民がそれぞれどの部分の何をもって人災と定義するのか)というのは判断できないが、自然災害に際して土地の特性を知っておくことは重要であることは教訓としたい。 この関東・東北豪雨災害についてもさまざまな検証が行われる。 災害のたびに同じような検証が繰り返されているように思う。もちろんしっかり検証することは重要だ。 しかしもっと大切なのはその先なのではないか。 検証結果をどうフィードバックするのか。 その方法も併せて考えていかなければならないと思う。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2015.10.20 01:26:33
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