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2015.11.01
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カテゴリ:地図
仙台でいま、空前の古地図ブームが起きている。きっかけは、7月に放送されたNHKの人気番組「ブラタモリ」だ。タレントのタモリさんが街の歴史的な痕跡をめぐるこの番組が放送された後、仙台市の古地図散歩ガイドの復刊が決定し、瞬く間に売り切れた。さらに、大正・昭和時代の古地図も復刊される予定となっている。古地図の何が、ここまで人を惹きつけるのか。

10月20日、仙台市にある古書店「火星の庭」で「仙台地図さんぽを100倍楽しむ古地図バー(芋煮編)」が開かれた。20人を超える参加者を前に、「風の時編集部」代表の佐藤正実さん(51)が熱弁をふるう。「(仙台市の昔の中心だった)芭蕉の辻。交差点の左右で道幅が違うのは、ここの場所まで昔、市電が走っていた跡だからです」。佐藤さんの詳しい解説に、参加者から驚きの声が上がった。

佐藤さんが手にしているのは「仙台地図さんぽ」。佐藤さんが6年前に発売し好評を博した、古地図散歩本だ。本で使用している古地図は、明治時代に陸軍を退職した琴田●一郎(ことだじゅんいちろう・●は隼に鳥)が、仙台に正確な地図がないことを憂い、自ら測量し制作した1912年(大正元年)の「仙台市全図」。「仙台地図さんぽ」では、その古地図と現代の地図が左右見開きになって対比され、それぞれの区画の見どころが古写真とともに解説されている。佐藤さんは「琴田は、現地の古老を訪ねてヒアリングを行い、地名の由来や歴史を地図に記した。当時の老人は江戸時代を生きた人。地図の書き込みを見れば、江戸時代の仙台の姿まで浮かんでくる」と、この地図の魅力を語る。

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佐藤さんは2009年に仙台市制120周年記念事業の一環として「仙台地図さんぽ」を5000部発売したところ、仙台の書籍市場では異例の大ヒットとなり、すぐに売り切れた。その後絶版になったが、今年に入って佐藤さんは「仙台地図さんぽ」が、アマゾンの中古本で1冊2万円台で取引されているのを発見し、驚愕したという。そこで佐藤さんは、2015年2月から再版購入希望者を募り、500人に達したら再版することにした。

当初はなかなか希望者が集まらなかったが、7月11日と18日に「ブラタモリ仙台編」が放送された後、一挙に購入希望者が定員に到達。9月1日に仙台市内の3カ所の書店限定で1000部が発売されると、その書店で人気作家の新作を抑え、5週連続で売り上げ1位となって完売した。

「ブラタモリ」の番組スタッフにもアドバイスしたという佐藤さん。今回の再版を購入した人は、6年前に発売した時とは異なる客層だという。「6年前は地図マニアが購入していた。今回は一般の人が購入している」。その背景として、佐藤さんは「ブラタモリ」の放送に加え、東日本大震災の影響もあると分析する。「震災があったことで、自分の家や住んでいる場所が、昔どんな場所だったのか気になる人が増えた。昔は沼だったのか、街だったのかなどは、古地図を見ると分かる」

好評を受け、「仙台地図さんぽ」は11月に再再版が決まった。さらに、戦前・昭和の仙台全図や1949年にJTBが出した観光マップなどの再販も決まった。佐藤さんは「仙台はまさに古地図ブームのさなかにある」と話す。

実はこの「仙台地図さんぽ」、スマートフォンやタブレット用のアプリもある。佐藤さんは、「古地図やアプリを持って街を歩き、その場所に立って古地図と現場を見比べると、まるでタイムスリップしたかのような感覚になる」と、古地図さんぽの魅力を語る。仙台だけではなく、日本各地の都市でも古地図本や古地図アプリが発売されている。あなたの街の古地図を片手に散歩してみるのも楽しいかもしれない。

書籍版「仙台地図さんぽ」は税抜2500円で、11月20日に仙台市内の書店で再発売予定。

(THE PAGEより)
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古地図と現在の姿を対比することで、街のかつての姿を知る。
土地の性質を知ることが防災で有効なのはもちろんだが、空間に時間軸を加えること自体の面白さがブームの根底にある。

どんな街にもそれなりの歴史があり、それぞれの時代なりの人々の暮らしがあった。
その様が地図には残されている。
それをひも解く面白さが理解されつつあるのだと思う。

仙台のケースも同様だが、佐藤さんが6年前に「仙台地図さんぽ」を出版していたことが効いている。
こうした企画があって分かりやすく解説してくれることが人々の興味を呼び起こすことは間違いない。

それにしても空前のブームを巻き起こすマスコミの力、そしてブラタモリの力には改めて敬服するほかない。





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Last updated  2015.11.01 00:52:26
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