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2016.06.12
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カテゴリ:災害・防災
先日(6月8日)、NHKの時論公論で「新型堤防が目指す津波防災」というテーマで解説があった。
担当したのは山崎登解説委員。災害情報における日本の第一人者の一人だ。
重要な解説だったので記録にとどめておきたい。

今年の夏から静岡県の駿河海岸において、全国で初めて現状の堤防を大津波がきても壊れにくい「粘り強い構造」に補強する工事が始まる。
これは堤防が簡単に破壊された東日本大震災を教訓を踏まえたものだが、どういう経緯で何を目指したものなのかを理解しておく必要がある。

東日本大震災で堤防を越える高さの津波が襲来した際に、堤防を越えた津波が陸側から堤防を破壊したことが確認されている。
これは従来の堤防が、海側から来る津波を堤防の海側の面で食い止めることを想定していたため、堤防の裏側(陸側)の強度が不足していたことが原因とされている。
「粘り強い堤防」はそこを強化しており、堤防を越えた津波による破壊を防ぐことを目的としている。

そしてこの堤防の補強には重要なメッセージがある
想定外の津波に備えて、従来の「津波を全面的に食い止める」ことは捨て、「避難時間を稼ぐ」方向へと堤防の目的が変更されたのである。
つまり新型堤防は避難を前提としており、逃げる時間を稼ぐもの。
この点はしっかり集中される必要があるだろう。

特に今回の駿河海岸をはじめとした南海トラフ地震による津波襲来が予想される地域については、地震発生から津波到達までの時間が短いため、新堤防が生み出す「時間(猶予)」が重要な意味を持ってくる。

津波の防災対策はハードとソフトの両面から進める必要があるが、今回の例は「ソフトのためのハード」という側面があり、この堤防を生かすチャンスはいち早い避難があってこそという点を多くの人に理解してもらう必要がある。






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Last updated  2016.06.12 00:53:25
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