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2016.06.13
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カテゴリ:空間認知
日本の住所はわけがわからない!? 不規則な番地に困惑する海外出身者 欧米では「道+番号」(BLOGOS)

日本と海外の住所標記の違いについての記事。
日本=街区制、海外=ストリートアドレスという図式については周知の事実だろう(日本式だった韓国が2014年にストリートアドレスに改めたことは知らなかった)。
日本の地図やナビがガラパゴスと言われるのも、実はこの住所方式の違いによるところが大きい。
また、そのことが海外の地図・ナビメーカーが日本市場に入りずくしているともいえる。

日本の住所制度は確かにややこしい。
外国人に限らず日本人でも混乱をきたすケースがある。
その一つの要因が「住所」(住居表示)と「地番」の混在だ。

地番は土地の登記に使われるもので、土地の権利を表すためのものといっていいだろう。
規則的に並ぶわけではない上に数字も大きくなりがちで、さらに分筆の度に枝番が増えるなど複雑極まりなく、少なくとも任意の場所を表す方法としては不親切であることは間違いない。
住所と異なるのは住居ばかりでなく農耕地や山林も地番がある点で、現在でも都市部以外では地番をそのまま住所に充てている例は多い。

一方都市部では1962年5月10日に施行された「住居表示に関する法律」を基にした住所表記(住居表示)が一般的だ。
もともと郵便物を配達しやすくすることを目的としており、道路等で区切られた街区に規則的に街区番号を付与し、その中にさらに規則的に住居番号を与えている。
これがいわゆる「住所」と認識されているものである。
ただし住居表示が実施されている地域であっても、不動産の登記はそれまで通りの地番が使われるため、住居表示実施地域では住所と地番が並行して別々に存在するということになる。

難点としては住居表示の実施に伴い古い地名(字名)が消されたり、自治体が住居表示台帳と土地台帳の2種類の台帳を管理しなければならないことなどが挙げられる。

さらに、住居表示を実施せずに地番整理で対応する自治体もある。
これは従来の地番を規則正しく整理する方式で、表記は住所表示と似ているが住居表示法に縛られないことや、登記上の地番と住所が一致する形で整理されることが特徴。
ただし住居表示ほど明確なルールに基づいた規則性はない。
ちなみに筆者が住んでいる府中市はこれに該当するので、我が家の住所は整理地番ということになる。

このように、日本の住所表記はさまざまな方式が並立しており、そのいずれもが地域を面で区切る形になっている。
いわゆる街区方式による住所表記がもともと登記上の地番がベースになっているからこそということはこれで理解できる。

ではこうした住所表記の違いによる混乱は方式を改めることで回避することが可能なのだろうか。
率直に言ってそこには大きな疑問がある。
なぜならばこの違いはある意味空間認識の方法の違いに繋がるものであり、文化の違いと位置づけることもできるからだ。

例えば、記事にもあるように日本では道路名のプライオリティは低い。
多くの人は道路名を知らない(興味がない)。
そもそも道路管理上のID的な位置づけの道路番号以外は意味を持たないため、道路名はあくまでも通称名に過ぎないという感覚が一般的だろう(それでも街道名などは使われる頻度が高いが)。
逆に、おおまかな場所を示す上で住所の町名や字名は日本人の空間認識の中でそれなりに役割を果たしている。

こうした違いには地図にも如実に表れる。
海外の地図は道路のデザインが線を太らせた形のものが多いのに対して、日本の地図での道路デザインはいわゆる道路縁が表現されていることが多い。
これは住所が街区制であることと無関係ではないだろう。
地図において、海外の都市地図では道路名の注記がびっちり描かれており、日本人からするとうるさく感じる。
しかし海外の人にしてみれば日本の地図は町名や街区番号がうるさいということになるのだろう。

分かりにくいとされる日本の住所表記だが、ストリートアドレス方式とどちらが優れているかは簡単には論じられない。
制度を変更することは簡単ではない上に、変更は人々の空間認識そのものに影響を与えることにもなり兼ねない。
個人的には日本は日本の社会に適した方法でやっていくことでいいのではと考えている。
IT全盛の現代であれば外国人に分かりやすくするには別のアプローチもあるだろう。
むしろそうした情報サービス(住所検索やナビゲーション)の充実や街中のサイン等の工夫で現在の方式のまま分かりやすさを追求することを目指すこともおもてなしの一つの方法なのではないか。








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Last updated  2016.06.13 15:07:50
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