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カテゴリ:災害記録帳
里山保全で防災・減災 06年7月豪雨災害から学ぶ(長野日報)
平成18年7月豪雨災害の記録 忘れまじ豪雨災害(岡谷市HP) 2006年7月、いわゆる「平成18年7月豪雨」が各地に大きな被害をもたらした。 中でも長野県の被害は甚大で、諏訪湖周辺で約558ヘクタールが冠水、2,541棟が床上・床下浸水に見舞われた。 影響は諏訪湖の下流にも及び、箕輪町松島地区の天竜川では右岸堤防が決壊、伊那市の殿島橋が落橋するの被害が発生した。 岡谷市周辺では複数の土石流が発生した。 諏訪湖南西側の伊那山地はの糸魚川-静岡構造線の断層崖の急斜面が続き、断層崖にはこれを開析する北東方向の急傾斜の谷が多く発達しており、湖岸に扇状地を形成する地形となっている。 土石流や斜面崩壊は稜線部分で多く発生しており、遷急線付近で崩壊することで、谷に沿って大量の土砂を流下させ、諏訪湖湖岸・天竜川谷底平野沿いに発達する扇状地付近で被害を大きくした。 こうした山地災害の要因のひとつが、森林づくりにあるという。 この災害では、水の通りやすい層の下に透水性の悪い層があり、表層土が水分飽和していたところに大量の地下水が噴き出しがことが引き金になったというのだ。 教訓として挙げられたのが人工林の手入れ。 カラマツは、引き倒し実験の結果から「土砂災害防止機能に劣る樹種ではない。適正な間伐が行われれば、根は太く長くなる」のだという。 その上でコナラなど根張りのより強い樹種を山地の弱点(崩れやすい場所)に入れ、適地適木や針葉樹との混交で災害に強くすることが必要になる。 つまりは適切な場所に適切な樹種を配置する森林づくりがされれば山地災害を軽減することが可能ということになる。 また、そのためには里山づくりもカギで、山林所有者だけでなく力を合わせることで、地域を挙げた里山づくりが広がることが重要であるという。 適度に人の手が入った里山の形成は、こうした山地災害の軽減はもちろん、最近問題になっているクマなどの野生動物による獣害にも有効であることが知られている。 そもそも現在の山林は、終戦直後にはほとんどがハゲ山状態であり、そこから針葉樹を植林することで現在に至るのである。 元来の植生である照葉樹林から針葉樹一辺倒に変わったこともあるが、適切な間伐がされていれば状況は変わっていた可能性もある。 高齢化により山林の手入れが人手不足気味なことに加えて、里山もまた過疎化による耕作放棄地の増加など、手つかずの状態が増えつつある。 今後の森林づくりが適材適所を重視した形に変化していくことで、山地災害を軽減する効果が現れることに期待するとことはもちろんだが、山林や里山を(人材の問題も含めて)どう維持していくのかという点についても、もう少し議論が進んでいけばいいが。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2016.07.04 01:00:10
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