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2016.08.29
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カテゴリ:災害・防災
台風10号が接近しており、報道でもさかんに警戒を呼び掛けている。
ここのところ、台風11号、9号と立て続けに被害を及ぼしており、特に影響が大きかった北海道をはじめとした北日本は10号でも進路にあたる可能性が高く、これまでの雨による地盤やインフラへのダメージも考慮すれば最大級の警戒が必要になるだろう。

一方で台風の進路にあたらない地域なら安心かといえばそうでもない。

昨年を例にとれば、台風12号は西九州に上陸したが、台風から離れた東北地方でも大雨となり、秋田県で河川氾濫などの被害が出ている。
また台風18号は愛知県に上陸して石川県から日本海へ抜けたが、秋雨前線を刺激する形で、台風の中心から離れた茨城県における鬼怒川や宮城県の渋井川の決壊による水害が記憶に新しい「平成27年9月関東・東北豪雨」をもたらしている。

こうした事例は毎年のようにあり、台風の中心から離れていても大雨や突風などの被害の可能性がある点は認識しておく必要がある。
このあたりは気象庁のHPにある「台風に伴う雨の特性」が参考になる。

このような観点から見ると、進路予測も含めた台風報道が上陸の有無に偏っている現状(例えば台風の上陸でニュース速報が出たり、上陸地がどこかにこだわったり)は防災上果たして適切なのかという疑問もある。
もちろん中心に近ければ風雨が強いというのは事実。
それでも現実に中心から離れていても被害が出ている以上は、広く注意を呼び掛けることは重要で、その方向性からすると上陸偏重の報道は逆行しているように感じてしまう。

また、複数の専門家が指摘しているが、今日報道されている「46年ぶり記録更新 台風10号「長寿」台風に」というニュースは、ランキング好きの日本人の興味をくすぐるのは分かるとしても、防災的にはあまり意味がない。
今回の「長寿」は「北緯30度以北で発生した台風」という縛りのもとでのものであり、その条件では「北緯30度以北で発生した台風は(今回の10号含め)42個で、66年間のに発生した台風、1711個のうちの3%以下。その中で一番寿命が長い台風となる」という程度のものだということ。
それでも防災的に意味がある情報ならば大いに報道すべきと思うが、長寿であるかどうかはおそらく台風の被害との因果関係はないだろう。

近年の気象報道はどうしても「記録的」「過去にない」「異常」という冠詞がつくが、それが客観的かつ有意な情報であるかどうかはきちんと検証した方がよさそう。





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Last updated  2016.08.29 12:07:54
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