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カテゴリ:災害・防災
【北海道・岩手大雨】「避難遅れた」 夕闇の急流、猛威 災害弱者どう守る(産経ニュース)
避難指示・勧告出さず=9人死亡の地区に-岩手・岩泉町(時事ドットコム) 濁流で11時間救助活動できず 岩手の高齢者ホーム(共同通信) 台風10号による豪雨が東北・北海道に深刻な被害をもたらした。 中でも岩手県岩泉町乙茂上の高齢者グループホーム「楽ん楽ん」で、入居者9人が逃げきれずに亡くなったことはショッキングだった。 施設は小本川の目の前で航空写真を見る限りきちんとした堤防らしきものもなく、大正4年発行の旧版地図では事実上河川敷のような場所であることが分かる。 認知症患者や車いすの人、介助がないと外に出られない人など入居者はいわゆる災害弱者だが、台風接近のため夜勤担当の職員が来られず、日勤だった女性職員がそのまま居残っていたという。 この職員はホーム内に押し寄せた水に流されながらも、物につかまって入所者の1人を抱え、朝まで水に浮かんでいて助かったたという。 実際問題として、自力避難ができない高齢者を少ない職員で避難させるのは困難と言わざるを得ない。 氾濫流に襲われたのは19~20時頃と推定されるが、そうなるとやはり前日の明るいうち(あるいは台風が接近する前)に避難ができなかったことが悔やまれる。 また、町は北部を流れる安家川流域には避難勧告を出していたが、グループホームのある乙茂地区には避難勧告や指示を出していなかった。 ただし、午前9時の段階で避難準備情報は町全域に出ており、「土砂災害の恐れのある区域にお住まいの方、河川等の越水の恐れのある方は、避難用品を準備のうえ早めに避難行動を」と呼びかけてはいた。 また、12時半頃には土砂災害警戒情報も出ていた。 時系列の状況については、関連ツイートを抜粋したこちらのまとめサイトが参考になる。 この地区での小本川の氾濫は雨がピークを越えてからだったようで、現地も役場も情報収集が追いつかず、避難のタイミングを失う結果となった。 町長は「避難指示を出す準備を進めていたが、いつ出そう、いつ出そうとやっているうちに(被害情報への)対応に追われ、出せなくなった」と語っている。 また、職員は「町全体が津波に襲われたようで、何もできなかった」とも語っている。 災害時の役場では人的リソースが限られており、避難勧告や指示を出すための情報収集が滞ることはある程度想定しておくことも必要かもしれない。 先を予測することは難しいが、台風接近は事前にわかる情報でもあるので、災害弱者については、避難準備情報が出たまだ明るいタイミングで安全な場所への避難を促すような方法も検討しなければならないだろう。 施設は平屋であり、垂直避難もできなかった。 ただ、平屋であることは施設の目的を考えれば(ユニバーサルデザイン的にも)自然なことで、事前の避難を前提とするならば、階の移動がない分避難はスムーズになるはずなので、平屋だったことは不運ではあっても、まずかったとまでは言えない。 今回のように、高齢者施設が災害に対して脆弱な場所に立地しているケースは、広い土地を確保するという事情から少なくない。 ましてや入居者は基本的に災害弱者であり、災害に危険がある際の対応や事前の訓練など、見直すべきタイミングなのかも知れない。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2016.09.01 01:32:51
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