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2016.09.03
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カテゴリ:災害・防災
防災の日 物資輸送など重点訓練 熊本地震を教訓に(毎日新聞)

9月1日は防災の日ということで、各地で様々な訓練が行われた。

日本では子どもの頃から学校で避難訓練を経験する。
小学校であれば日頃から防災頭巾を持っていたりと、災害が多い国ならではの行事ともいえる(他国の事情はあまり分からないが)。
もっとも、自分が子どもの頃はまだ防災頭巾を「防空頭巾」と呼ぶ向きもあったから戦争の影響もあるかも知れない。

自分が子どもの頃にやっていた避難訓練の対象はもっぱら火災だった。
あるいは地震を対象とした場合でも、地震で火災が発生するという想定が標準的で、一旦机の下で安全を確保したら速やかに校庭に避難、というパターンが多かったように思う。
この頃は町内会の避難訓練なども火災が対象で、消火器を使ったりバケツリレーをしたりという訓練が目立った。
これは(少なくとも首都圏において)関東大震災のインパクトが大きかったことに由来する(ここでも一部戦争の空襲などの影響はあるかもしれないが)。

1995年の阪神・淡路大震災はこうした記憶を上書きするような大きな災害になった。
ここで日本の防災は一つの転換点を迎える。
特にインフラ面の変化は大きかった。
また日本で役所を中心にGISが普及するようになったのもこの震災が大きい。
そして訓練のあり方もここから少しずつ変わってきて、従来型の「避難訓練」中心から「防災訓練」へとシフトしてきたように思う。

いわゆる避難訓練が発災直後の安全の確保や救護がテーマだったのに対して、近年の「防災訓練」はその後の避難所運営や流通の確保、インフラの復旧、さらには情報伝達や帰宅困難者対策なども含まれるようになっており、シミュレーション型が一般化している。
行政ばかりでなく、民間企業でもBCPを前提とした訓練が行われることは珍しくない。
また、鉄道会社などの公共交通機関などは、実際に列車を停めての訓練なども行われている。
こうした大掛かりなシミュレーション型の防災訓練が増えているのは、被災地が広域にわたった2011年の東日本大震災の影響もあるかも知れない。

過去の経験を活かした備えが一般化していくのはいいことだが、その一方でシナリオにはまらない想定外への対応や、十分なリソースを持たない小さな自治体の負荷軽減など、相変わらずの課題も残る。

また、国を中心にした大災害への備えが進化するのとは別に、ローカル災害への対応が十分でないケースも多い。
地域特有の災害リスクはその地域でしか分からない部分もあり、自治体を中心とした対応も必要になる。
つい先日の台風10号による小本川や安家川の水害などはその典型例でもある。
リソースの少ない(しかも町域が広い)自治体の災害対応をどうサポートするのかという問題はまだまだ対策が足りていない。

防災の日は、防災を考える重要な機会でもある。
国、自治体、各機関、そして市民一人一人がそれぞれの立ち位置で防災を考える日であればいい。





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Last updated  2016.09.03 15:44:03
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