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カテゴリ:地図
2016グッドデザイン大賞「世界地図図法 [オーサグラフ世界地図]」(日本デザイン振興会)
28日に発表された「2016年度グッドデザイン大賞」で慶應義塾大学政策・メディア研究科の鳴川研究室とオーサグラフによる「世界地図図法 オーサグラフ世界地図」が大賞を受賞した。 面積や形の歪みを極力抑えて描画した世界地図で、球面上の地理関係を適正に表現している点が評価されたもの。 近年地図がグッドデザイン賞を受賞するケースは増えているが、大賞を受賞するのは2011年の東日本大震災でのインターナビによる取り組み「通行実績情報マップ」以来になる。 オーサグラフ世界地図は多面体図法による世界地図図法で、心射投影と正射投影を組み合わせることで正積(※正積図法と公称するには同手法で精度を上げる必要がある)で形の歪みも少ない点が特長。 全世界が長方形の中に収めることができ、地理関係も損なわずに全方向につなげることが可能。 「南極大陸も含め世界全域がくまなく見やすく、さらに行き止まりのない球面世界を平面で再現できる、多中心な世界観を視覚化できる世界地図」という点で画期的。 地図には面積,形,方位,距離の4つのものさし(=4つの「正しい」)があり、その全てを満たす解はないことが数学的に証明されている。 世界地図において、面積を正しくすると形の歪みが増大するため、正積図法では形の歪み、あるいは海洋部の断裂を受け入れるしかなかった。 オーサグラフ世界地図も開発初期では正積地図を模索していたが、「面積が正しいからって形がいびつでは受け入れられない」ことに気づき、4つの歪みをトレードオフすることで面積を極力正しくしつつ、形の歪みも低減していったという。 従来の世界地図はどうしても精度を追求するアプローチで投影に縛られる形になってしまい、「デザイン」という観点は後回しになりがちだった。 そんな中で投影だけに終わらず、「歪みの解消」というデザイン的なアプローチで世界地図を改良していった点は目から鱗でもある。 また、地球という球形のいわば「行き止まりがない世界観」、さらには世界各国が主体であることによる「多中心な世界観」を表現しつつ、それを任意の長方形で切り取ることで世界を表現している点は、哲学的にも理にかなっているといえる。 これは素晴らしい「発明」だと思う。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2016.10.29 13:48:08
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