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2017.08.27
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カテゴリ:災害・防災
朝倉300年前の水害風化 同じ被災地名、寺の古文書に(西日本新聞)

松末(ますえ)、志波、山田…。7月の九州豪雨で大きな被害が出た福岡県朝倉市内の地名が、300年ほど前に起きた水害の被災状況を記録した古文書にも残されていた。同市宮野の南淋寺が所蔵。今回の豪雨では寺周辺でも犠牲者が出たが、住民の間で過去の水害は知られていなかった。


災害の伝承といえば地震や津波に関するものが多いが、頻度の高さから考えれば、水害がもっとも伝承されやすいようにも思えるが、残念ながら今回はそれが生きなかった。

そもそも河川沿いに氾濫平野や谷底平野が発達する朝倉市の地形の成り立ちを考えれば、頻繁に洪水に襲われていたであろうことは想像がつく。
川沿いの平野に住むということは、その土地が洪水によりつくられたものであることは何となくでも認識しておいた方がいいのだが、実際にはあまり考えられていないというのは今回に限った話ではなく、全国的な傾向だろう。

加えて、現在の河川はしっかりとした治水がされている。
川岸は堤防で固められ、上流にはダムや堰堤がある。
かつては大雨が降れば毎度のごとく氾濫していた川も、こうした治水対策によって洪水の頻度は少なくなった。

逆に言えば、それが人々の危機意識を減退させたともいえる。
ダムや堤防があることで、洪水を目の当りにする機会は減り、万が一破堤なりで氾濫が起こった場合にどのような状況になるのかは想像しにくくなった。

かつて平野に住む人々は微高地である自然堤防に家を構え、旧河道や後背湿地など水がたまりやすい場所は水田として利用することが一般的だった。
ところが、今はそうした「稲の領域」に住宅が建つことも珍しくない。
治水が進んだことで、河川が氾濫すること自体が想定しにくくなってしまっているのだ。

地震や津波といった災害は地域にとって必ずしも頻度が高いものではないが、それに比べれば洪水による氾濫は、大雨になれば常に可能性があるし、またそうした大雨は前線や台風など、決して珍しい現象ではない。

個人的には防災において地域における過去の災害の伝承は非常に重要だと思っているし、必ず効果を生むはずと考えている。
中でも水害についてはその頻度から考えても本来伝承がされやすいはず。

たとえば東京を例にとっても、明治以降たびたび大水害を経験している。
ただし、治水が進み洪水の頻度が減少することで、そうした災害の記録はどんどん過去のものになってしまい、いつしか自分には関係ない領域へと消え去ってしまう。
普段堤防で守られている街が、一旦破堤したらどうなるのか、地域の過去の災害の伝承を紐解いて考えてみる機会が必要なのではないか。





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Last updated  2017.08.27 20:18:34
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