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テーマ:★面白い事★(17)
カテゴリ:相棒
私は自他共に認める神経質、ではない。 薄汚れた椋材の安テーブルも、ヤードセールで見つけた5ドルの古ソファも、ところどころが欠けた粗大ゴミ風のソファテーブルも、自分なりの努力で、どうにか使用に耐えうるものに直してきた。テーブルにはお手製テーブルクロスをかけ、ソファには同柄のソファカバーを縫い、ソファテーブルの金メッキには白いペンキを塗り直すなど、この3年間、生活改善のために惜しみない努力を続けてきた。 が。いくらがんばっても、どうしても改善できないことがひとつだけある。それは、フトンである。 相棒が10年ほど前から愛用している掛け布団。ヘタって綿がボコボコになっているだけでなく、血やらシミやらがついていてキモチワルイことこのうえない。持っている掛け布団4枚が4枚ともその調子だから、いくらバルコニーで干そうとも、いくら新品のカバーをかけようとも、もはや再起不能、それらに包まれて眠るたびに、私の気分は沈みに沈むのだった。 いや、ただの古ぼけたフトンであるのならまだ良い。布団カバーがこぞって悪趣味だから、余計、気が滅入るのである。リネン類など無難に無地のにしておけばいいものを、何をはりきってか、ウニョウニョとしたミトコンドリア模様で覆いつくされているものを選ぶのだからタチが悪い。水彩画タッチのチューリップやバッ点が抽象的に描かれているものを選ぶのだからタチが悪い。 いや、ただの古ぼけたフトンに、ただの悪趣味なカバーがかかっているのならまだ良い。歴代の人々が使用してきたものであるから、余計、薄気味悪いのである。血をつけたのは誰か。シミをつけたのは誰か。そんなこと、私は、もちろん、知りたくもない。 そんな私を相棒は神経質と呼ぶ。 シミだらけでヨレヨレの敷布団を処分させ、中古だが状態の良いマットレスを買わせるのには丸々2年が費やされた。もう一枚の敷布団をあきらめさせるためには、折りたたみ式薄型マットレスを私が自腹を切って購入しなければならなかった。カバーもなにもかも汚い、汚い、と繰り返していたら、私の留守中、どこかの激安セールで、緑色のギンガムチェックのシーツとドギツイ紫色の布団カバーを入手してきてしまった、などということもあった。しかもポリエステル。 物事にはやっていいことと悪いことがある……。 私は、密かにヘソクることに決めた。少しずつお金を貯めて新品の掛け布団を4枚買うぞ。ヤツ愛用のボロ布団と差し替えてやるぞ。シーツもカバーもいっぱい買うぞ。ポリエステル100%の悪趣味なヤツと差し替えてやるぞ。 そうして実行したフトン作戦、第一弾、だった。私は数日かけて、羽毛布団を1枚と、布団カバーを1枚と、シーツを1枚と、枕を2個と、枕カバーを2枚買った。それらに丁寧にアイロンをかけ、ボロ各種を取り払ったベッドにセットした。アイボリー色に包まれたベッドは、どこからどう見ても素敵に大変身した。 が――。 変化に気付かないのはなぜだ??? 相棒の目は節穴としか思えません。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
Nov 21, 2004 06:15:13 PM
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