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カテゴリ:相棒
で、昨日の日記の続きなんですけど。 私だって、家探しのひとつやふたつにここまで声を荒げるほどお行儀が悪いわけではないんです。悪いのは、同居人なんです。そうです。すべて奴が悪いんです。 振り返ればここ2ヶ月、住所不定の私たちは、幾度となく車の中で寝泊りを繰り返してきました。なぜなら、ホテル代が高いからです。私たちが泊まっていたのはここらではいちばん安いホテルであったとはいえ、それでも、ホテル代は、普通に住むときの家賃に比べると割高です。ですから、週末ともなると、荷物はすべて車のトランクに入れ、日の高いうちは放浪、日が暮れると、近所の商業施設の洗面所に行って、歯を磨き、そそくさと車に戻り、寝袋に入って寝る、というあきれた生活を、奴は私に強いていたのです。 車は普通の乗用車。寝袋にくるまった私は後部座席に横たわるのですが、膝を曲げないことには体が収まりきらず、関節の痛みに目を覚ますことしばしば。しかも悪いことに、車中の寒さが、これをエスカレートさせるのでした。 クリスマスに別府に行ったのも、そう、ホテル代がもったいなかったからです。北九州でダラダラとホテル滞在をしているよりも、どこかへ車で行ってどこかで車で寝たほうが安上がりだ、と。 出発の日のことを、私はよく覚えています。あの日、九州地方では所により雪が積もっていて、ラジオの交通情報は「高速道路で一部規制」と伝えていました。しかし、不安に思った私が同居人にそれを伝えるも、返ってくるのは、「高速は高いから使いマセン。問題アリマセン」という、現実をまるで直視していない返事のみ……。 もちろん不安は的中でした。夕方、北九州から別府へ向かった私たちは、この峠を越えればもう別府だという山中で、道路の凍結ににっちもさっちもいかなくなってしまうのです。辺りは暗闇。申し訳程度にともる街灯は、かえっておどろおどろしさを演出しています。もともと車に強くない私は、ツルツル滑るこのニョロニョロ道を親の敵かといわんばかりに暴走する誰かさんの運転に、冷や汗かきながら、びっくりドンキーのハンバーグが喉元にこみ上げてくるのを押さえるのに大変です。 その晩は、車の中で凍え死ぬのと車の中で一酸化炭素中毒で死ぬのとどっちが可能性が高いだろう……と考えながら、雪の大分の山中の一角で眠りにつく私でした。 力尽きました。次回に続く。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
Jan 24, 2006 05:34:57 PM
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