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カラ梅雨で水不足が心配されてましたが、雨がまとめて振ってくれて一安心です。でも今度は梅雨の盛りで、なかなか釣りに行けない今日この頃。出来ることと言えばポンコチいじりしかありません。いつもってか? というわけで、今回ご紹介しまするのは、こりだ~~! 【大森製作所 タックルオートNo.1】 (製造年) 1977年頃? (ラインキャパ) 2号-200m (重量) 242g (ギアー比) 1:5.2 これはヤフオクで偶然格安で落札できたタックルオートの初期型で、インスプールの名品として名高いコメットのベースとなったアウトスプールモデルです。タックルオートの後期型をベースとしたコメットは1979年の発売なので、これは恐らく1977年くらいの発売でしょうか。小さいほうからSS、No.1~No.4まであるうちの二番目に小さいNo.1です。タックルシリーズにオートベール機構が付いてフルモデルチェンジした感じでしょうか。 このリールもコメットほどではないですが、ルアー屋さんに人気の高い小型モデルです。今まで画像では散々目にして、なんか変な、というかダサいデザインのリールだな~とは思ってましたが、実物を直接手に取ってみたら、こんなにもカッチョええリールとは思いませんでした。一体どこがどうカッチョええのかと聞かれても具体的には全く答えられません(笑) が、触っていてこれだけ楽しいリールというのは初めてかもしれません。なんでやろ? 色合いは非常に深い紺色のメタリック塗装です。大森のリールは本当に渋い色が多いですね。見た目の派手さなんぞで客の目を引こうという考えは微塵も有りません。デザインもしかり。高級感がある訳ではないですが、安っぽさもありません。何ですかね、この存在感。オシュレーションもクランク式でボールベアリングもローターに一個だけ。恐らく実売4000円程度の、大森の中では廉価品のリールですが、回転は非常に滑らかです。 こんなのを触っていると、やたらベアリングの数を増やしたり誇ったりすることの意味が分からなくなってきます。逆にベアリングが少ないのに滑らかに回転させられることのほうが自慢になるんじゃないですかね?さらに逆説的に言うと、ギアの噛み合わせ精度も出せないお粗末な技術力のメーカーが、ベアリングで強引に回して誤魔化しているということです。(ボロクソ・・^^;) 恐らく、このリールにやたらと魅力を感じてしまうのは、低価格製品であっても高品質であることでしょう。コストを掛ければ掛けるほど品質が上がるのは当たり前ですが、低価格製品でも手抜きをしないのが企業としての良心であり、限られた原価の中で出来る限り性能を上げるのが設計力。このリールを構成する部品はそれぞれの主張は少ないですが、一つ一つのパーツが丁寧に作られていますし、過剰な品質や見た目の豪華さは求めずに、浮いたコストをリールの性能向上に効果的に生かせる部分に注ぎ込む。そういう設計思想で作られているように感じます。 限られた原価の中で、何を削ぎ落とし何は譲れないか。大森は、最廉価モデルであれ最小モデルであれ、頑固なまでにネジ込みハンドルを貫いています。すべてのリールの基本である【巻く】という動作は、ハンドルの僅かな動きもローターにダイレクトに伝えることが、巻き心地に最も大きく作用するという考え方なのでしょう。どのメーカーでもモノ作りに対する思想はハイエンドモデルよりも最廉価モデルに顕著に表れると言えます。 このリールと同じプラットフォームを持った大森インスプールの最終モデルであるコメットがプレミア価格になるのも、分からないではないです。この後に出てきた初代マイコンは大好きですが、僕がこのモデルに感じる魅力と同じものは持ち合わせていませんし、タックルオートの後継機であるキャリアシリーズは、性能はともかく樹脂ボディーになってしまったので、僕の価値観からすると安っぽさは拭えません。 という訳で、タックルオートの魅力に憑りつかれた僕ですが、最少のSSも入手しますた~ワオ!\(^0^)/ 【大森製作所 タックルオートSS】 (製造年) 1977年頃? (ラインキャパ) 2号-150m (重量) 184g (ギアー比) 1:5.2 残念ながらラインキャパが2号で150mなので、僕が認定する栄光の極小ぽんこち殿堂入りは叶いませんでしたが、ラインキャパが多い以外は、もの凄いコンパクトですね。ダイワSS600と並べても、ボディの小ささが勝ってます。 タックルオートには初期型と後期型がありますが、後期型はコメットと同じく、スプールもボディもマイコンと同じツヤ消し黒染め塗装となり、ハンドルやらローターやらスライドスイッチもマイコンと同じデザインになってしまい、個性的で美しいレトロデザインの風情が薄れてしまいました。僕が好きなのは、あくまでこの輝くダークメタリックブルーの初期型です。 商売の効率だけを考えると、安物をいかに高級そうに見せて高く売りつけるか、あるいは品質はともかく大量生産で物量を捌くということに辿り着くと思いますが、大森は素人受けするような見た目の豪華さを演出したり、宣伝費をたくさん掛けた販売戦略を行うなどの、悪く言うと商売人としてのセンスは無く、真面目に愚直にリールを作ることのみ続けてきた結果、徐々に衰退していったのは、時代の必然的な流れだったのかも知れません。しかし大森のようなモノ作りの思想というのは、他の国には無い日本人が持っていた強みであったはずですし、美徳でもあったはずです。利益追従型、売上至上主義の企業ばかりになってしまった今の日本が、モノ作りにおいて韓国や台湾に追い越されそうになっているのも当然かもしれません。自らが自分の良さを放棄して消滅していった大森の末期と同じようなことを国レベルでやっているのですから。 日本のモノ作りがまだ美しい良心をもっていた頃の、美しいリールでした。
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