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テーマ:最近観た映画。(40090)
カテゴリ:アメリカ ・ サスペンス
サイレント時代から”恋物語の名手”として名高いフランク・ボーゼイジの甘美な陶酔の恋。
1912年、処女航海でニューヨークに向かうイギリスの豪華客船タイタニック号が、北大西洋のニューファンドランド沖で氷山に激突、海の藻屑と消えた。 この映画は1500人を超える犠牲者を出したこの史実に着想を得て作られたものである。 主人公はアメリカの海運王の夫べイルと、離婚調停中のアイリーン(ジーン・アーサー)それにパリきっての名ギャルソン(給仕)のポール(シャルル・ボワイエ)。アイリーンは異常なまでに嫉妬深い夫を嫌い、何とか離婚したいのだが、夫は承知しないのだ。 べイルは裁判に負けそうだと知るや、使用人の運転手に妻に言い寄るように命令、別居中の妻のもとに行かせる。タイミングを見計らって自分と弁護士が不倫の現場を押さえるという仕組み。 ポールはたまたま隣の部屋にいて、力ずくで従わせようとする運転手から、彼女を救いだす。そして、車でレストランに向かう。 「隣の部屋で酔った友人を介抱してた。そうしたら興味津々のあの場面だ」 「まあ!」 「で、君をさらった」 「まあ!でもなぜ宝石を?」 「強盗のふりでもしないと君の愛人と思われる」 「まあ!・・・とんだご迷惑を。・・・私をどこへ?」 「帰る前に少し考えたら? この車の中で」 「まあ!・・・『まあ』の連発だわ!」 車中の二人の会話だ。 客の姿が見えない深夜のレストランで、タンゴを踊る男と女ーー。女はハイヒールを脱ぎ捨てて、夜が白むまで男と二人でステップを踏み続ける。「ラ・クンパルシ-タ」「アディオス・ムチャーチョス」などのタンゴの名曲に乗って二人が踊るシーンの美しさ、踊るのがジーン・アーサー、シャルル・ボワイエともなれば尚更のことだ。 ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ こんな夜を待ってた ずっと前から待ってたの こんな幸せな気持ちは初めて ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ 女、アイリーンは囁くように云う。 夢のような一夜が明けて、二人は馬車で帰っていく。 「着いたよ」 「まあ!でもこの『まあ』は幸せを呼ぶ・・・(キス)・・・『まあ』と再び!・・・(キス)・・・。『まあ』よ、永遠に!」 だが、変質的なほどアイリーンに執着する夫は運転手を殺してポールに罪をかぶせようとし、ポールを助けたければ一緒に来いとアイリーンをアメリカに連れて帰る。 彼女を追いかけてポールもアメリカにわたる。フランスで別の人間が犯人として捕らえられたと知った二人は、真実を話すため再びフランス向かう。ところが乗った船がべイルの船だった。 二人の仲を裂こうとして夫が仕掛ける卑劣な罠。やがて常軌を逸した夫の指示で豪華客船は濃霧の中を暴走を始め、氷山に激突する。沈没する船の上で、二人は愛を確かめ合う。 「もっと早く会いたかった」 「・・・愛の始まりはいつ?」 「車で君が『まあ』を連発したとき」 「まあ!」 こうして船は刻一刻沈んで行く。二人の運命や如何に・・・。 1937年製作 アメリカ・モノクロ 監督 フランク・ボーゼイジ 出演 ジーン・アーサー シャルル・ボワイエ * ポール役のボワイエは、粋な身のこなしとロマンティックな雰囲気で女性ファンを魅了した。読者の方のお母さんもその一人だったかも・・・。 懐かしの映画館 ブログランキング参加中 応援よろしくお願いします ↓ 人気blogランキングへ お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2006.10.30 20:35:16
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