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シネマに賭けた青春「夢を追いかけた日々」の想い出

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"芸者”を真っ向から取り上げたハリウッド映画は今まであっただろうか。出てくる俳優が日本人でありながら日本人でなく全員英語を喋る。初めのうちあった違和感はいつのまにか消え去っていたのも面白い。配役も国際的だが、願わくば全員日本人俳優で演じてほしかった。

スピルバーグが製作を担当しているだけにさすがによく出来た作品だった。絢爛豪華な花街の世界を舞台に薄幸の少女が花街一番の芸者に成長していく過程を克明に描き出していた。

貧しい漁村に生まれた少女・千代(大後寿々花)は、9歳の時に、おかあさん(桃井かおり)と呼ばれる女将が仕切る花街の置屋に売られた。苛酷すぎる日々の中、千代は会長(渡辺謙)と呼ばれる紳士に優しく声をかけられ、それを運命の出会いと信じた千代は、会長にもう一度会うために、芸者になりたいと願うようになる。

そして千代が15歳の時、芸者の中の芸者と称えられる豆葉(ミシェル・ヨー)が、彼女を芸者として育てたいと申し出る。千代は芸者さゆり(チャン・ツーイー)として修行に耐えて花と咲き、数多くの男たちを虜にしていった。

やがてさゆりは、客として現われた会長と再会する。だが会長のビジネス・パートナーである親友の延(役所広司)がさゆりに魅了され、熱い思いを彼女に抱いてしまう。

一方、同じ置屋の初桃(コン・リー)やおカボ(工藤夕貴)が、さゆりに敵対心を燃やして数々の罠を仕掛けてくる。そんな中で初桃は自滅した。

そして戦争がやってきた。芸者を引退し、田舎で疎開することになったさゆり。だが終戦後、延が彼女を迎えにきて、さゆりを豆葉と共に芸者に復活させる。

延はさゆりが融資のためと言え、アメリカ人に抱かれたことを許せず、彼女への思いを絶つ。さゆりの内面の声が語り始める。

(心の死はゆっくりと訪れます。希望を木の葉のように散らし、ある日、枯れ尽きます。希望は消え無だけが残るのです。化粧をするのは、素顔を人から隠すため、目には深い悲しみの水・・・。芸者は何も求めることなく、何も感じてはいけないのです。浮き草のような世界で芸に生きる女、踊ってーー歌ってーー客を楽しませる。客に仕えて、あとは影に包まれーー秘密の世界に消えていくのです・・・)

やがて、さゆりのもとへ会長が迎えにきた。二人はお互いに抱いていた長年の恋心を、初めて打ち明け抱き合うのだった。

これは一途な想いを貫いた女の半生ものである。ファンタジック・メロドラマの部類に属する作品であろうか。

2005年 アメリカ・カラー 監督 ロブ・マーシャル 出演 チャン・ツィイー/渡辺謙/ミシェル・ヨー/役所広司/桃井かおり/工藤夕貴/コン・リー/大後寿々花

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Last updated  2007.06.11 22:20:25
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