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カテゴリ:アメリカ ・ ハートウォーミング
熱いトタン屋根の猫 / エリザベス・テーラー 「熱いトタン屋根の猫」は、劇作家テネシー・ウィリアムズの舞台劇を原作に、人間の強烈な”心の渇き”を真っ向から描いた傑作だ。 その1; 猫のマギーを演じるリズは夫に取りすがる。だが夫は・・・ 「私は、陽に焼けた熱いトタン屋根の上に追いやられた猫よーーー」 「飛び降りてみろよ」 と夫のブリック(ポール・ニューマン)はさげすむようにいう。 自殺した親友と妻(エリザベス・テイラー)との関係を疑いアルコールに溺れる夫と、自身の潔白を訴え、愛を求めて悲痛な叫びをあげる若き妻。 その心の渇きは、熱いトタン屋根の上から飛び降りることも出来ずに悶える猫そのままであった。 その2: 遺産相続をめぐる人間模様、それに夫婦愛、親子愛が絡んで・・・ 舞台はアメリカ南部の大農園主の邸宅だ。家族から”ビッグ・ダディ”と呼ばれている当主(バール・アイヴス)は癌に冒され、余命いくばくもない。その莫大な財産を相続しようと躍起になる長男夫妻。 ビッグ・ダディが、自家用機で病院の検査から戻ってきた。この日は彼の65歳の誕生日だ。長男のグーパー(ジャック・カーソン)とその妻メイ(マデリーン・シャーウッド)は子供たちを引き連れ、派手に出迎える。 元プロフットボール選手だった次男のブリックは、妻マギーが親友を誘惑して死に追いやったと誤解し、酒びたりの毎日だ。 ビッグ・ダディは末期癌だったが、本人と妻のビッグ・ママ(ジュディス・アンダーソン)には秘密にされていたのだが・・・。 その3: テイラーが美人スターから”演技派女優”へと変貌した記念碑的作品 「好きな人と暮らすのは、独りよりも淋しいものね、片思いだと・・・」 冷淡な視線を送り、取りすがるマギーを突き放すブリック。孤独感のなか、あられもない姿でわめきちらし、長男夫婦の蔑みにさらされるマギーの唯一の救いは、ビッグ・ダディの示す厚意だけだ。 愛に飢えた人妻の不安定な心の動きを見事に表現したリズの演技は誠に見事なものだ。 「僕はパパの土地も金も欲しいと思ったことはない。ボスでなく、父親がほしかった。普通の父親が!!」 金にまかせて買いあさった品々であふれた地下室の倉庫で暴れるブリックの悲痛な叫び。自らが癌に冒されていると知ったびっぐ・ダディとブリックは初めて親子の情愛をかわす。 この場面は圧巻だ。深い感動で胸が一杯になる。33歳のニューマンの演技も見事だ。26歳の女盛りのリズも 撮影開始直後3番目の夫、マイケル・トッドを飛行機事故で失った悲しみにもめげず、この映画に打ち込んだという。 「マギー、この家から嘘をなくそう」 打ち解けあったブリックがマギーと熱いキスを交わすラストシーンは泣ける。 開巻、午前3時の競技場。車で乗り付けたブリックが酒をラッパ飲みしながらハードルを置いてゆく。そしてそれを飛び越そうと走り出す。そして最後のハードルに足を引っ掛けて転倒、足を骨折してしまう。フットボール選手が何故? と思うのだが、これはこの作品のテーマを意味している。 一方、映画の中でリズが着た、白いシフォンのドレスは、テイラーの豊かな胸元を強調する大胆なデザインで話題を呼んだ。デザインしたのは人気デザイナーのヘレン・ローズ。テイラーも大いに気に入ったそうである。 1958年 アメリカ・カラー 監督 リチャード・ブルックス 出演 エリザベス・テーラー/ポール・ニューマン/バール・アイブス ブログランキングに参加中です 応援よろしくお願いします ↓ 人気blogランキングへ お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2007.11.19 12:54:40
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