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シネマに賭けた青春「夢を追いかけた日々」の想い出

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オーソン・ウエルズが25歳で撮った映画史上空前の最高傑作!!

アメリカの新聞王ハーストをモデルにした「市民ケーン」!!

金網で囲まれた巨大な城で、ケーンは死の床で「バラのつぼみ」という謎の言葉を残して息絶える。言葉の意味は何か???


その1: 「バラのつぼみ」の謎を追い、一人の新聞記者が奔走する
 
「ザナドゥ」という巨大な城に住む新聞王チャールズ・フォスター・ケーン(オーソン・ウエルズ)が「バラのつぼみ」という言葉を残して死んだ。その言葉の謎を解くことがケーンの実像に迫る鍵だとして、ある新聞記者がケーンの知人を訪ねて取材をする。

次々と明らかになるケーンの虚像と実像。謎を追うミステリー仕立ての展開とシャープで緊張感のあるカメラワークが観る者をぐいぐい引きつけて離さない。

証言の中から、ケーンが貧しい生い立ちにありながら大学教育を受け、新聞社経営に乗りだし辣腕を振るいはじめる。

インクワイアラー紙で新聞界に出たケーンは、早速『編集宣言』なるものを一面に囲み記事で発表する。記事はこう書かれていた。
「弊社は全真実を素早く平等に楽しく伝え、いかなる権力にも加担しない。市民および人間としての権利のために私は戦う 署名 C・F・ケーン

ケーンは新聞を売るためには、でっち上げも辞さない強引な手法とセンセーショナルな話題づくりで、巨万の富を作ることに成功、次は政界進出を志す。


その2: 富と権力を手に入れながらも、愛情や孤独の壁にぶつかるケーン

ケーンは個人演説会で聴衆に語りかける。
「よろしい、今なら約束できる。労働者と貧しい子供たち、彼等の利益のために全力を尽くします。私は不幸な人を全力で守ります。抑圧された報われない人々を!」(大拍手)

ところが投票日直前、歌手のスーザンとの浮気が公にされ、選挙には落選する。
新聞社時代の同僚リーランド(ジョセフ・コットン)に、
「君が気にしているのは自分のことだけだ」
と言われて反発。
「私の自己愛に乾杯だ。誰だってそれしかない。・・・自己しか」

彼は妻と別れ、2番目の夫人にスーザンを選ぶ。そして今度はとても能力がないスーザンをプリマドンナにオペラ界へ乗り出すのだ。だが、彼女にとっては苦痛でしかなかった。

「4万9千エーカーの土地にあるのは彫刻だけ・・・。孤独だわ」
彼女は睡眠薬の飲みすぎで倒れ、それが癒えてもジグソーパズルに夢中だ。求めても得られぬもの、それはケーンの”愛”だったのだ。欲しいものは何だって買ってくれる、だが・・・。

スーザンは遂にケーンのもとを去っていく。呆然と見送るケーン。

 
その3: 生きるために何よりも必要なもの それは・・・

彼は結局、全てを失った。バラのつぼみもその一つだ。人生の道を解く鍵じゃない。そんな便利な言葉などない。バラのつぼみはパズルの一片なんだ。消えた一片・・・。

こう新聞記者は語る。

私はケーンのような孤独な死は迎えたくはない。そうは思ってもその願いが届くかどうかわからない。”孤独死”は時代が要請するものなのだろうか。

この映画は確かに名作だ。あなたも一度はご覧になっておくといい。

1941年 アメリカ・モノクロ 監督 オーソン・ウェルズ 出演 オーソン・ウェルズ ジョゼフ・コットン ルース・ウォリック ドロシー・カミンゴア アグネス・ムーアヘッド 

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Last updated  2008.03.09 20:36:28
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