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シネマに賭けた青春「夢を追いかけた日々」の想い出

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カテゴリ:イギリス映画



チャップリン最後の主演作品!!

赤狩りで追い出されたアメリカ文明を徹底して批判した反骨精神はお見事の一語。


その1: 自由の国アメリカの実態を描いたこの作品は・・・

ヨーロッパの小国エストロヴィアからアメリカへ亡命した王様シャドフ(チャールズ・チャップリン)は、革命のため国を追われ、ニューヨーク空港に着く。

王様は指紋をとられ、自由の国のはずなのに自由にならない。ホテルに落着いて散歩に出たが、街の騒音、ロックンロール、性転換映画、西部劇の射ち合いなど、散々な目にあう。

翌朝、目覚めたら、王様は一文なし。総理大臣が王様の財産をそっくり持ち逃げしたのである。

王様は生活問題に直面。隣の部屋から歌声が流れてき、王様が鍵穴からのぞくと、美女が風呂に入っている。テレビ・アナウンサーのアン・ケイ(ドーン・アダムス)が、王様を自分のショウ“パーティめぐり”に出演させるために近づこうとして企てたのだ。

風呂についているワイパー付きテレビには思わず笑ってしまった。蒸気よけのこのアイデア、よく出来ている。

王様は彼女が気に入り、クロムウェル夫人のパーティに出席し、ごきげんになって大はしゃぎ。得意のハムレットのセリフを喋る。それが放送されていたと知って、王様は怒ったが、もう全米の人気者になっていた。

王様だからと云って放置しておかないのがこの国である。いろんなスポンサーが出演を申しこんできた。財政が底をついてきたため、ついにウィスキー会社の申し出を受けた。本番のとき、王様は生れて始めてのウィスキーにむせかえって大騒ぎになる。失敗と思ったら、最高の宣伝とスポンサーは大喜びだ。



その2: マルクスを読む10歳の少年とは・・・

王様は学校を訪問。乱暴者ばかりの生徒の中で、学校雑誌の編集をしているルパート少年だけは変っていた。この十歳の少年がマルクスの本を読んでいたのである。

このルパート少年、王様に話をさせず、一方的に喋りまくる。
「政府の指導とは政治権力で人民を圧迫することです。政府は人民を束縛します」
「だが、アメリカ国民は自由ではないのか?」
「旅行してみればわかります。旅券がなければ一歩も動くことは出来ません。すべての国民の権利を奪っているのです。動物には不要です。人間には旅券がいるのです」
喋らせてくれない王様、いらいらさせられる。

数日後、雪の中を少年が通りかかったので、ホテルにあげて話をきくと、両親が共産主義者として非米活動委員会に調査され、少年も追われているのだ。王様は可哀想に思い風呂に入れてやり、食事を与える。しかし、王様が部屋を空けた間に少年は捕り、王様も彼をかくまったかどで委員会に呼びだされたのである。


その3: 王様 チャップリンの言いたかったことは何?

エレベーターの中で消火ホースにいたずらしたら、指が抜けなくなり、王様はそのまま証言台に立つ。何を云うのかと思ったが、意外や意外である。

委員会を侮辱する、と立場は不利になったが、消防夫が火事と思ってホースを消火栓につなぎ、水がふき出、王様はやっと指が抜けた。ホースの筒先を委員たちめがけてぶちまける。委員たちは頭から水を浴びて濡れ鼠になる。しかし王様の嫌疑は晴れた。

かくして、王様は自由の国アメリカを去り、ヨーロッパへ帰ることになったのだ。

これがチャップリンの最後の主演作というにはいささか物足りない。ドーン・アダムスとのからみの面白さはあるのだが、今ひとつだ。どうもこの作品、笑いの点でも、ストーリーの点でも消化不良のように思ったのは私だけだろうか。


1957年 イギリス・モノクロ 監督 チャールズ・チャップリン 出演 チャールズ・チャップリン ドーン・アダムス オリヴァー・ジョンストン マイケル・チャップリン マクシーヌ・オードリー ジェリー・デスモンド シドニー・ジェームズ 

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Last updated  2008.03.15 21:35:14
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