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シネマに賭けた青春「夢を追いかけた日々」の想い出

シネマに賭けた青春「夢を追いかけた日々」の想い出

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スティーブン・スピルバーグ監督×トム・ハンクス主演で贈る、人生に一度の感動ドラマ。

彼は空港(そこ)で待ち続けた。約束を果たすために…。


その1: 空港で足止めされた男 なぜ彼は入国できない??

東欧からNYに来たビクター(トム・ハンクス)。だが渡航中、祖国クラコージアでクーデターが起こりパスポートが無効になってしまう。米国入国もできず国にも帰れないビクターはカタコトの英語を駆使してここケネディ国際空港で暮らし始めた。

あなたはもし渡航中に国がなくなってしまうことなど、考えているだろうか。この映画は突然、国が消滅してしまった男の悲劇を描いたとも言えるだろう。トランジット内を歩くだけの自由を与えられた彼に何ができるだろう。ここで出来ることと云えば、買物と軽食だけ。

それからTVも見れる。チャンネルを勝手に変えられないが、そのテレビニュースでクラコージアの内戦を報道されている。言葉の通じない彼でも映像は理解できる。ようやく彼にも足止めされた理由が分かったのだが・・・。


その2: 空港の副責任者フランツから貰った食券と僅かの小銭は

落としてしまい、掃除夫クプタと論争する始末。ビクターは急ぎ足で歩いていたフライトアテンダントのアメリア(キャサリン・ゼタ=ジョーンズ)がフロアーで転倒するのを助ける。それを見ていたクプタはビクターをCIAだと誤認する。そして仲間にそのことを告げる。

クプタの仲間で空港内運搬人のエンリケが彼に近づく。そして税関国境警備局の女性職員トーレス(ゾーイ・サルダナ)の秘密を聞き出してくれるように頼む。エンリケは彼女に夢中なのだ。ビクターがパスポートを返してくれとトーレスのところへ通っているのを知り、秘密を聞き出してくれたら、毎日食事を提供すると言う。
 
ビクターは聞く。
「何を・・・知りたい?」
「知りたいのは、彼女がどんなことに興奮するのか、どんなことに熱く感じてとろけっちまうのか、俺、彼女にビンビン来ててさ。俺はなぞの求愛者って訳だ」
「トーレスさん、ビンビンなの?」

このシーンは傑作だ。エンリケの代わりに毎日トーレスの元へ出勤?して彼女の秘密をいろいろ聞き出すのだ。そして遂にエンリケは彼女のハートをゲットし結婚する。

税関国境警備局のフランツ・ディクソン(スタンリー・トゥッチ)は厄介者のビクターを一日も早く空港から追い出したい。しかし、彼はフランツの仕掛ける罠には乗らない。二人の駆け引きも楽しませてくれる。

「クラコージアは戦闘中です。恐いでしょう? 祖国は」
「いいえ、祖国、恐くないです」
頭を抱えるフランツ。彼は”亡命”という餌で裁判を受けさせようとしたのだが、またも失敗。

その一方でアメリアと次第に親しくなる。だが、彼女は妻のある男の愛人なのだ。
「普通なら離婚を要求するでしょ、それなのに私ったら妻の応援してる。どうにかしてるのよ、そうしておいていつも待たされるの」
「待たされる、僕も同じだ」

監察官が空港査察にくる。そのとき問題が発生、無届薬品を持ち込もうとしたロシア人が暴れている。通訳に呼ばれたビクターは薬はヤギのものだと言わせて男を助ける。男をぶち込もうとしたフランツは怒りに駆られコピー機の上に手を載せたビクターを押さえつける。

手のコピーを張ってある空港内の店の数々。店員たちがビクターを見ると親しみを込めた目で挨拶をする。今やビクターは空港内の人気者になるのだ。

そして彼はアメリアにNYへ行きたいわけを話す。その理由とは・・・これが何とも泣かせる理由である。

この映画は殺伐としたアクション物が幅を利かせているご時世に、心温まるユニークな話を映画にしたスピルバーグの勝利だ。

最後にそれまでビクターの前に立ち塞がっていたサーマン警部(ハリー・シャバカー・ヘンリー)が、「外は雪だ、寒いぞ」と言って自分のコートを脱ぎ、ビクターに着せかけてやる場面が実にいい。

2004年 アメリカ・カラー 監督 スティーヴン・スピルバーグ 出演 トム・ハンクス/キャサリン・ゼタ=ジョーンズ/スタンリー・トゥッチ/チー・マクブライド/ディエゴ・ルナ

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Last updated  2008.09.08 21:44:31
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