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カテゴリ:ハ~ホ
フランソワーズ・アルヌール、彼女はモロッコの劇場でフランス映画「望郷」のジャン・ギャバンを夢中になって見詰める少女だった。後にこの大御所と共演することになるとも知らず・・・。 アルヌールは1931年6月3日、アルジェリアのコンスタンティーヌで、フランス軍中尉の父と舞台女優だった母との間に生まれた。アルヌールが6歳のとき、モロッコの都市、ラパトに渡った。 ナツメヤシの木々やブーゲンビリア、頭にカゴを載せて運ぶ女性の姿・・・、異郷の地で少女は感受性を育んだ。母親は彼女をラパトで評判の高いバレエ学校に通わせた。嬉しさで有頂天になった彼女はバレエに打ち込んだ。 そんな時、アルヌールは兄の引き出しから映画雑誌を見つけた。スターのポートレートは少女を夢見心地にし、それまで知らなかった世界へ誘ったのである。 以来、彼女は毎週のように映画館に駆け込むようになったのであった。 45年、パリに戻り、高校中退後に演劇学校に通い始める。そしてとある映画監督に認められ、「漂流物」で初主演。丸顔で童顔、身長160センチとフランス人にしては小柄ながら、みずみずしいセクシーさを持ったアルヌールは着実に人気を高めて行ったのである。 そしてかって映画館で憧れを抱いたフランス映画の帝王ジャン・ギャバンと「ヘッドライト」 「フレンチ・カンカン」で共演、一躍トップスターの座についたのだ。 50年代には「フランス式十戒」「女猫」など34本の映画に出ている。少女の頃、暗い映画館の片隅で胸をときめかせていた少女は今や見られる側の大女優になっていたのだ。 22歳の時から、アルヌールは宣伝マンの恋人ジョルジュ・クラヴェンヌと暮らしていたが、24歳のとき、母に勧められて結婚、しかし、社交的で華やかなジョルジュとは4年間で別れの時がきた。 5年後、アルヌールは助監督のベルナール・ポールと恋に落ちた。高貴な美しい顔の彼に一目ぼれしたのだ。彼が情熱を注ぐ映画を一緒に作りたい、そして幸せな時を共有したい、そう思った彼女は女優の仕事よりも彼と共にいることを望んだ。たとえそれが雑用係であっても。 しかし、16年後、ベルナールは闘病生活の後、天国へ旅立った。悲しみの淵に落ち込んだアルヌールを救ったのは仕事だった。月の光を思わせる女優アルヌールは、演じることを愛し続けたのだ。彼女は現在78歳で健在である。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2009.10.02 11:11:02
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