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テーマ:男優たちの華麗な酒盛り(277)
カテゴリ:ラ~ロ
レイモンド・バー、彼の名を聞いて出演映画を思い出す人は多くはあるまい。ヒッチコックの「裏窓」に出ていた犯人役の男、と言えば思い出す人もいるだろう。
この映画で彼の存在は実に不気味であり、恐怖を増幅していたように思う。向かいのアパートの部屋を覗き見るカメラマンのジェフ(ジェームス・スチュアート)、彼は事故で片脚を折り、車椅子生活だ。 女性の着替えから痴話げんかまでヒッチは見せてくれる。ジェフはある時、向かいの部屋の男が病身の妻を殺したのではないかという疑問を抱く。そこから”恐怖”がジワジワと浸透してくる。 恋人リザが部屋に忍び込んでゆくサスペンス、ジェフに無言で襲い掛かる殺人者の演技、レイモンド・バーの演技は本当に見事なものであったと言えるだろう。 裏窓 彼は1917年5月21日、カナダのブリティッシュ・コロンビア州ニューウェストミンスターで生まれた。父はハードウェアのセールスマン、母はピアニスト・音楽教師だった。 父の仕事の関係で子供時代を中国で過ごした。両親が離婚後、母・妹・弟と共にアメリカ合衆国カリフォルニア州ヴァレーホへ移住。第二次世界大戦中は海軍に入隊したが、沖縄戦で負傷して帰国。 海軍を退役後、演劇に興味を抱き1946年に初めて映画に出演する。続く10年間に90作品に出演した。「陽のあたる場所」、「裏窓」といった作品に出演。他には「ラブ・ハッピー」「ブルー・ガーディニア」「フライングハイ2 危険がいっぱい月への旅」などがある。 出演作品の多くで悪役を多く演じたが、1956年には「怪獣王ゴジラ」でスティーブ・マーティン記者役を演じ、1985年の「ゴジラ1985」でも同役を演じた。 1957年にE・S・ガードナーの『ペリー・メイスン』シリーズのテレビドラマ化でペリー・メイスン役を演じ、テレビスターの仲間入りをした。 同作品は人気を博して9年間続き、1959年と1961年にエミー賞主演男優賞を受賞した。1967年にはもう一つの長寿ドラマシリーズ『鬼警部アイアンサイド』で、車椅子の刑事役を演じた。同作品は1975年まで続いた。 1980年にはデニス・ホッパーの監督作品「アウト・オブ・ブルー」に脇役として出演。また、1982年にはペリー・メイスン役をパロディにした「フライングハイ2」に出演した。1985年には再びペリー・メイスン役を演じ、26本の二時間映画シリーズに出演した。 自らが演じた「悪漢」や不屈の英雄とは対照的に、実際の生活ではチャリティに多額の寄付を行った寛大な人物だった。また、20人の孤児を養育した。彼はテレビ局の幹部やディレクターに、彼に示すのと同じ尊敬を共演者達にも示すように主張した。 コロンビア大学映画学科の講師として演技指導も行っている。私生活では結婚は一度している。 1993年9月12日、肝臓癌のためカリフォルニア州ヒールスバーグで死去(76歳没)し、故郷ニューウェストミンスターのフレーザー墓地に埋葬された。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2010.02.23 12:17:59
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