シネマに賭けた青春「夢を追いかけた日々」の想い出

ジュリアーノ・ジェンマ、云わずと知れたマカロニ・ウエスターンのトップスターである。『モンゴメリー・ウッドというハリウッド名で出演していた』ジェンマの日本公開第一作が「荒野の１ドル銀貨」だ。

殺された弟の復讐に立ち上がったジェンマが艱難辛苦の末、仇を討つというお話だ。ちなみにこのタイトルは、悪漢に撃たれたジェンマが胸ポケットに入れた１ドル銀貨で命を取り留めるという設定から生まれたそうである。

荒野の1ドル銀貨続・荒野の1ドル銀貨
　
「荒野の１ドル銀貨」が好評ですぐさま続編が作られた。「続・荒野の１ドル銀貨」はジェンマがお得意のアクロバットや早射ちガンプレイを披露し、妻子を救うため右手を負傷しながらも左手でガン・プレイを習得し、復讐を遂げるまでを描いた作品だ。

続いて「南から来た用心棒」「さいはての用心棒」などで人気を決定的なものにした。


彼は、1938年9月2日、ローマで生まれた。イタリアの俳優・彫刻家でもある。マカロニ・ウェスタンのトップスターだ。

幼い頃は母の生まれ故郷北イタリア、レッジョ・エミリアで暮らす。小さい頃から肉体労働などをして家計を支え、高校時代はボクシングや器械体操で数々の賞をとった。

卒業後に兵役に就く。その後バーテンダー、セールスマン、消防士などをした後に1957年演劇学校ビデス・フィルムに入学し、アメリカ映画「ベン・ハー」にエキストラ出演（当初はチャールトン・へストンのスタンドインに予定されていたものの背丈が足りなかったため）。ほか、「タイタンの逆襲」やルキノ・ヴィスコンティ監督の「山猫」などにも出演。

1965年、“モンゴメリー・ウッド”の芸名でイタリア映画「夕陽の用心棒」に出演。これが世界的にヒット。同時期に芸名を本名のジュリアーノ・ジェンマへと変える。その後も「荒野の1ドル銀貨」、「南から来た用心棒」、「怒りの荒野」といったマカロニ・ウエスタンに主演し、世界の大スターへ飛躍。出演作品には「カリフォルニア～ジェンマの復讐の用心棒」「ザ・ビッグマン　華麗なる金庫破り」「特攻大戦線」「ゴールデン・ボーイ」などがある。



私生活では人気が出る前からのマネージャーのナタリア・ロベルティと結婚している。

1980年代前半には、スズキから、自らの名を冠した第1種及び第2種の原動機付き自転車（スクーター）「ジェンマ」のイメージキャラクターとしてCMに出演した。また、来日もしている。

1991年にはイタリアロケが行われた日本映画「フィレンツェの風に抱かれて」（和泉聖治監督。東映）に出演し、若村麻由美と共演した。

2008年7月には、以前販売されたスズキの「ジェンマ」後継モデルが、軽2輪自動車（ビッグスクーター）として販売された。

現在は彫刻家としても活動中。彼も既に71才だ。美術品の世界でも大いに才能を発揮してほしいものである。